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【No.41】なぜ佐野皓大は "打てる" 選手へ変貌したのか

お久しぶりです。花粉症を疑っています🔥

2020年→2021年で、ここまで最も大きな成長を感じさせてくれている選手が、#41佐野皓大 外野手。
愛犬との直線ダッシュに勝ってしまうほどの『足』が持ち味の彼ですが、今年特に変わったのが足の基盤になる『打』。
今回はここを掘り下げて行こうと思います👟


1. 2020年の "佐野皓大"


2020年度成績
77試合 .214(140ー30)0本 3点 20盗
三振率.228 長打率.293 OPS.555

ご覧のように、リーグ5位の20盗塁を記録するだけの走力を持ちながら、19年に引き続き、打率.214 出塁率.262と《出塁すること自体がままならなかった》シーズンになってしまいました。

コンタクトヒッターとしての打撃像ながら、三振率22.8%、空振り率10.7%、ボール球スイング率31.8%は全てパリーグ平均よりも悪い値。
変化球に対しては、フォークにOPS.260、カーブとスライダーは1安打も放つことが出来なかったなど、打撃面では一軍レベルとの壁の高さを感じさせる部分が多くあります。

打撃の結果としては、ゴロ率がリーグ平均の45.3%に対して59.0%(規定未満ですが当然パリーグ最高値)を計測するなど、打球が殆ど上がらなかったことが伺えます。実際、安打の40%以上を内野安打が占めており、彼の俊足の健在ぶりが分かるものの、裏を返せば、通常であれば内野ゴロの打球しか飛ばせていないと考えると、スタッツ以上に打撃面で苦しい部分を感じさせます。

しかし、彼は打撃面では完全に変わりつつあります。それを紅白戦・宮崎CL・オープン戦と追って見ていきましょう。


2. どこがかわったんだろう?

(上は2年前の今日、下は21年宮崎キャンプ)


まずシンプルに、フィジカル面が大きく変わりました。公称ではずっと変わらず『182cm 73kg』なのですが、どう考えてもこの2枚が同じ体重には見えません。
(異なるフェーズなので少し分かりにくいのですが)特にお尻周りが太くなり、それに呼応するように大腿・ふくらはぎの筋肉も一気に付いてきました。俊足が武器であり、ビルドアップにはかなり慎重な塩梅が求められる中で、持ち味のスピードを維持したまま増量に成功したことは大きな意味を持つと言えます。

そして、今年はこの《強靭になった下半身》を活かしたバッティングが出来ていることが分かると思います。


2019年度


https://twitter.com/lifeshuichi/status/1113059639300513792?s=21


2年前の4/2のソフトバンク戦。プロ初ヒット。
上半身がピン立ちの状態で、上半身と下半身が異なるタイミングで回転動作をするバッティングでした。懐かしいですね。
ぼくは勝手にこのことを『上半身と下半身が分離してる』と呼んでいるのですが、正にこの悪い例に当てはまるのが当時の佐野です。
(伝わりやすく噛み砕いているだけで、正確には上半身と下半身の動作は完全に分離しません。)
その結果、ヘッドが遅れて出てきて、重心も右方向へ偏るため、余程タイミング早く捻る以外では右方向にしか飛ばない形式になると考えています。
結果はなんとか1.2塁間を割ってヒットになるのですが、タイミングは完全に振り遅れており当時はまだ『これは時間がかかる選手だなぁ…』といった状態でした。

(上半身主導で肩から突っ込んでいて、下半身は釣られて開き始める。いわゆる『体重が乗らない手打ち』状態のため、芯に当たってもさほど強い打球は飛ばない。)

これが2021年度。

下半身の動きが完全に変わっています。

今までなら上半身の動きばかりが早って『手打ち』の状態になっていたのですが、今では太くなった下半身も連動させたバッティングに変わっています。

この打席ではヤクルト・石川雅規投手にスライダーでタイミングをズラされるのですが、下半身でタメを作って、上半身+下半身の動きを連動させてバットが出てきているため、しっかりとスライダーを拾うことができました。
対外試合では自身2年ぶりとなるスライダーからのヒットです!!

フィジカルの増強に加えて、オフシーズン・春季キャンプで打撃面に課題を置いてとにかく鬼のように振り込んだ成果が出ている…🥲 泣けてきます🥲

こちらは3/13日の巨人戦で、今まで非力でより苦手意識の高かった左打席で放ったホームラン。
巨人先発陣の柱として活躍する戸郷翔征投手のストレートを捉えた、大阪ドーム5階席への確信ホームランでした。
この日の戸郷投手はOP戦の半ばにも関わらず150km/h代を連発しており(打ったボールは計測不定だが140km/h後半〜150km/hほどだと推測される)、低めフォークと高めストレートが十八番である投手の高めストレート、即ち『彼の十八番』を完璧に捉えた当たりに、大阪ドームは騒然となりました。

OP戦での佐野は、3/14現在ですが .333(30-10) 1本 OPS.922と大活躍中。
中でも10安打はOP戦の最多安打であり、更にその内の半分は長打であるという点から見ても、彼のバッティングは本当に別人になったことが分かります。

https://twitter.com/goshima_eagles/status/1371009470352953346?s=21

3. 目に見えない部分でも🙆🏻

また、長打力や確実性が高くなった!!といった、数字で見えてくる部分だけではなく、数字には現れにくい部分でのレベルにも成長が見られます。

例えば3/14(日)の西武戦での第1打席。結果は空振り三振。
1番センターとしての出場で、相手投手はシーズン80登板(!!)も経験したタフネス右腕の平井克典投手。経験豊富なサイドハンドです。

(同一リーグなので何度も対戦したことがある投手とはいえ)オリックスの打者が平井投手と対峙するのは今シーズン初めて。
特に昨シーズン途中から先発に転向しており、オフシーズン・春季キャンプで先発用にモデルチェンジしてきたとあって、先発でどのような組み立てをしてくるかは1つ要チェックポイントでありました。

その平井投手に対して、佐野は強く振ることを継続しながらもいつもよりもコンタクトと選球に重きを置いて対峙。『今自分に求められる役割を理解している』野球IQの高さがまず大きく褒められるべきポイント(オリックスはこれができる選手が本当にいない!!)です。

後続の打者に平井投手の投げる "生きた球" を多く見せつつ、その中でも実際に強く振っていくことでタイミングの測り方も後続の打者に伝えています。

2球であっさり追い込まれるのですが、3球目・4球目の外のストレートを "きっちり" と選球。その後6球目のストレートにも当て逃げの形ではなく強く振ることを継続していました。

最後は同じ軌道から落とすシンカーが頭に過ぎったか、上手く偽装された高めストレートに空振り三振に終わるのですが、佐野が『打者』としてステップアップしていることを感じさせるには十分すぎる打席内容でした👏🏻

3割打てれば一流といわれるプロ野球の世界。裏を返せば一流打者でも7回は失敗となる中で、失敗の内容にも意味が問われるのが打者の難しいところです。
ここが淡白な結果に終わってしまう選手が多いオリックスにおいて、こういう中身が凝縮された佐野のバッティングスキルの向上は本当に大きな意味を持ちます。

雑な締め方になりますが、今年の佐野は本当に本当に変わりました。別人です。
疲労が溜まり、研究されて厳しい展開が訪れることは十分予想されますが、それでも乗り越えられるくらい今オフ振り込んだことが伝わってきます。ぜひ佐野にも注目してみてください🙌✨

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