見出し画像

映画『ヤクザと家族 The Family』

2021年1月29日公開 公式アカウント X(旧Twitter)

LDHの最推しと(旧)ジャニーズJr.の自担が、それぞれ2023年公開の藤井道人監督作品のドラマと映画に出演することがほぼ同時期にわかり、はぁじゃあもうそれは取り敢えず藤井道人監督作品を観ておかなきゃならんなと思って観たのがこれ。
実はドラマの『アバランチ』を観ようとして3話くらいで離脱してしまっていたので、藤井監督作品に対して「ど、どうなんや…」という警戒心があったのだけど、まあ、よかったですね。

「ああ、もうこれどうしようもねえな」という寂寥感の描き方が好き。

綾野剛も好きな俳優のひとりなんですが、綾野剛の使い方がうめぇ。うめぇ綾野剛をいっぱい食わせてくれてありがとうな。あと磯村勇斗もいるぞ。ありがてぇよ。

ストーリーは主人公を軸に3つの時代に分かれていて、チンピラをやっていた主人公がヤクザに拾われるまで、ヤクザとしての全盛期からいろいろあって逮捕されるまで、そして出所後。それぞれの時代で主人公のまわりの「家族」が描かれています。
主人公と死んだ父親、拾ってくれた組長、組の人たち、チンピラ時代からの主人公の舎弟たち、元組長の妻が経営する飲食店、そこの息子、ヤクザ全盛期に出会ったホステスと、ホステスの娘。主人公が大切にしたかった人たちと、「ヤクザだから」でどうしようもなく崩れていく関係。

出所後の主人公がとにかくしんどい。服役中に暴対法が成立したことで、「家族」であった組がかなり廃れてしまっていて、出所したての主人公にとっては受け入れられない。「家族」のために服役したのに、出所したら「家」から出ろと親父(組長)に言われる。
服役中のもうひとつの心の支えであったかつて知り合ったホステスを探すも公務員になっており、ヤクザと関係があるとバレると問題だから、今の生活が崩されたくないからと拒絶される。けれども、その元ホステスの娘が架け橋となって、「家族」の時間を過ごすことができるようになり、チンピラ~ヤクザ時代の舎弟のつてでなんとか社会復帰を試み、希望が見えてくる。
しかしそれも、たったひとつの出来事で全てが崩壊していく…。

この出所後パートがとにかくしんどいというか、「ああ…」「やめろってまじで…」「この一瞬の希望が本当に一瞬であろうことが私にはわかる…」「ああほらもうこれ…」「ばか…」「あ~~~………」をじっくり味わうことになるんですよね。一瞬の希望と、いやでもどうにもならんだろこれの味を噛み締めることになる。味わい。これよこれ。

主人公の人生ってなんだったんだろうなというか、出所後の主人公を肯定してしまうとそのせいで人生がめちゃくちゃになったまま残された人たちもいるので難しくて、でも最後には若者たちの希望も残されていて、それが救いなんだな。確かに救われた人もいたからね。

物語のためのご都合!と感じるところもちょっとあったりはするんだけど(突発ワンナイトだけで子供ができるとか…)、まあこの映画にそこ突っ込むのは野暮かなと思うので私は目を瞑ります。

あ~しんど…ってなりたい人にはおすすめ。おすすめすな。ヤクザの話なのでもちろん暴力!暴力!暴力!のシーンはたくさんあるのでだめな人はだめですよ。でも藤井監督の描く暴力結構好きなんだよな…。


あと何気に主題歌をKing Gnuの常田大希(が主催する音楽プロジェクトのmillennium parade)が手掛けてるんですよね。タイアップといえばこいつくらいの勢いあるよね今ね。歌詞は直球で主人公のことです。

息継ぎの仕方さえ忘れた そんな今もただただ 生きたいと泣いていた

millennium parade「FAMILIA」



最初の感想から最後ぽろぽろ泣くまで。
いや最初の感想最悪だな。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?