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ポストモダン人類学と「1968年」【完成】

 これまで人類学の仕事は、例えばマルセル・モースが顕著であるように、既存の資本主義のあり方を相対化する役割を果たすものだった。「万物の黎明」が翻訳され、注目されているデヴィッド・グレーバーはアナキストの活動家だった。

 さらにその文脈を掘り下げていこう。この前YouTubeの動画で紹介した、ヴィヴェイロス・デ・カストロなどのポストモダン人類学の流れはアナキズム的な性格が強く、1968年の革命の延長線上の思想として位置づけられる。

 ポストモダン人類学は、レヴィ=ストロースをはじめとする構造主義人類学を乗り越えようとするものだった。差異の体系たる構造≒象徴秩序を読み替え、変化させていこうとするポスト構造主義の発想の延長線上にあるのが、ポストモダン人類学ということになる。事実、デ・カストロの主書「食人の形而上学」は、ドゥルーズ=ガタリ「アンチ・オイディプス」を参照している。

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