なくはない

ひとり暮らしをした年数が
それなりに長かったせいか
誰か他の人がいる生活空間
まだ慣れなくてストレスだ

ときどき休息と現実逃避を兼ねて
ビジネスホテルに連泊したりする
ただ休めればよくて観光の意欲は
まずそそられない近場にしている
ともすれば食事を買いに出る以外
ホテルから出ずだらだらと過ごす

そんな話をしていたら相手から
自分も同じようなところがある
誰かがいるとともかく気になり
ひとりになれないことが続くと
我慢ならなくなるときもあると

それは共感以上の感覚に見えた
むしろ自分よりも敏感で繊細な
ひとりの時間が必要な人がいて
自分の感覚は自分が思うよりも
環境や成育歴や病気に由来する
特殊なものではないらしいのだ
もちろん無関係とは言えないが

自分にとって必要な時間であることに
変わりはないけれどこれからはもっと
さほど珍しくも有り得なくもない話で
難しく考え過ぎずに当たり前のように
取り入れていいのだと妙に安心したり

誰かと過ごしていたいときがあり
ひとりきりになりたいときがある
ただそれだけのことを思うときに
引け目を感じずにいてもいいのだ

だってもしかしたらこれは
有り得なくもないどころか
良くあるのかもしれないし