優しさは

あなたとのことで知ったことは
数えきれないほどたくさんある
例えば相手を大切に思うことが
自分の行動にまで影響すること
例えば相手に大切に思われると
自分の支えだと感じられること

ひりつくような危うさもあれば
溢れんばかりの温かさもあった
それでも気難しいあなたなりの
精一杯の優しさだったと思うと
だからあなたとのことはすべて
消し去りたい記憶ではないのに

時間とともに薄れていくことを
止められないことがもどかしい
ときどき取り出して思い出して
並べて眺めて言葉にしたりして
わたしにとって大切なものだと
改めて丁寧にしまっておくのに

あなたはもう忘れたかもしれない
わたし自身もう忘れかけているし
あなたは優しかった
でも少し優しすぎた

優しすぎたことがあだになった
あなたは誰も傷つけたくなくて
逆に苦しみ混乱し躊躇い失った
最後に学んだことはたぶんそれ
あなたとわたしの年月の結論は
優しさはときにひとを傷つける