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さて、今回はイーロン・マスクさんのテスラの飛躍を「逆張りの経営」とのお題で川柳にしてみました。

ガソリン車の内燃機関エンジンに比べれば、モーターで走るEVなんて玩具だとバカにしていたトヨタのエンジニア達が、今やテスラに学ぶ時代になってしまいました。

いつの時代もイノベーターたちは、既得権益者の常識を打ち破る「逆張り」をしてきます。今回は、そんなテスラの「逆張りの経営」をお題に川柳5句にチャレンジです。

下請けの構造大事日本丸

自動車業界だけで550万人が働く、就業人口の8.2%がこの業界に支えられている大切な業界です。

トヨタ1社でも1次下請け6,000社、二次下請け38,500社、これだけの会社がトヨタを頂点とする下請け構造にぶら下がっているのです。

ガソリン車の部品点数は約3万点。

これに対して、BEV（電気自動車）は1万点。極端な話、自動車を作るのに下請けが3分の1しか必要でなくなるということです。

今まで苦楽を共にしてきた下請けをそんな簡単には見放せない。イノベーションのジレンマで日本丸はなかなか動けないのです。そこを逆張りの経営でテスラが攻めてきた訳ですね。

ギガキャスト遂にトヨタが追いかける

「ギガキャスト」をご存知ですか？

トヨタがテスラに学んでいる技術は、「ギガプレス」とよばれる「車体を一体成型する巨大ダイキャストマシン」を使った製造方法なのです。

プラモデルを作ったことがある方なら、イメージがしやすいと思うのですが、車体がプラモデルの部品のように一体型で出来てしまうような巨大なマシンです。

車体部品は100点を超える板金部品を溶接などで作るものだとの常識がありました。そうした技術には高い参入障壁があり後発の自動車メーカーが追い付くのは困難でした。

相手の強みを弱みに変える逆張りの経営が目指した生産方法「ダイキャストマシン」です。車体をポッコンと作る現場を見てみたいものです。

その昔こんな玩具と馬鹿にした

BEV（電気自動車）なんかいつでも作れるという自惚れがトヨタの開発現場にはあったようです。

内燃機関エンジンの開発には高い参入障壁があり、その最前線にいるトヨタの開発部隊、何よりも操業現場は毎日「カイゼン」を続けて、1円、1銭のコストダウンを続けてきました。どのメーカーにも負けないという自信があったと思います。

せっかく2010年にテスラと資本・業務提携したトヨタでしたが、現場は乗り気ではなく、2017年には関係を解消するに至りました。

その間、イーロン・マスクのテスラは、トヨタを学び、トヨタの強みを全部逆張りにした経営方針で今日のテスラに発展したのでした。

自動車をネット直販常識へ

後発の自動車メーカーにとって既に張り巡らされたライバルメーカーの販売網、販売ディーラーを一から育ててテスラのBEVを売っていただくようなことをイーロン・マスクは考えませんでした。

販売ディーラーを通さずにオンラインで直販する道を選びました。そして、テスラは2019年にディーラーを通さない直販へ完全移行しました。

これからは、AI技術の発展で、バーチャルの世界であたかも人が画面の向こうで顧客の疑問に答えてくれているようなアバンターとAIがディーラーの役割を果たす時代になっていくのでしょう。

ディーラーという既得権益者をぶっ壊すテスラのようなことができないのが、トップメーカーのジレンマです。

積上げずまた一からの大革新

じーじは、アマゾンの倉庫の写真を追いかけたことがあったのですが、驚いたのは、大規模倉庫が出来る都度、ガラッとイメージが変わっていることでした。

テスラも同じで新工場を作る度に生産方式をゼロから見直す方式を取っているそうで、これも出来上がったところから1円、1銭のコストダウンを積み重ねるトヨタ流「カイゼン」を逆張りする経営と言えるかもしれません。

80年代に一時は米国を追い抜いたといい気になっていた日本のモノづくりをGAFAM＋テスラが、駆逐しています。彼らは日本に学び、その中で日本流のやり方を逆張りする経営で逆転してきました。その象徴が「テスラ」かもしれません。

「カイゼン」の先頭を走り、素晴らしい業績を続けてきたトヨタの豊田章男さんが潔く社長を佐藤さんに譲ったのも逆張りへ対抗しなくてはならなくなってきたからでしょう。

でも安心してください。これからテスラにも必要になってくるのが大企業としての日常的な「カイゼン」の積み重ねや従業員一人ひとりの創意工夫や帰属意識です。その点の実力値では日本は負けていませんよ。

ボトムが強い日本企業は捨てたものではありません。

頑張れ日本企業！
頑張れＺ世代！

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