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【読書】壁

著者:安部公房

自分の名前を失ってしまった男性が、非現実的な世界の中でさまざまな怪現象に巻き込まれる物語です。

冒頭、主人公の男性は目覚めた時から違和感を覚えており、それが自分の名前にまつわる記憶と記録の一切がなくなっていることに気がついてから物語が始まります。
そこから後は、独特の口調の人物やキャラクターとクセのある世界観が入れ替わり立ち替わりで登場し、主人公がそれらに翻弄されていくというストーリーになっています。

私は本作を予備知識なしで読んだため、冒頭から異質な雰囲気漂っているこの世界観に馴染むのに時間がかかってしまいました。しかし、時折現代的な空想にでもありそうなユーモアのある表現も出て来たりと、訳がわからないながらも面白いと思えるポイントがあり、読むのが辛いと思うことはありませんでした。
とはいえ、最後の最後までいったい何の話だったのかは理解できておりません。

非常にクセのある作品であるため、多くの人にウケるような作品ではないと思います。また、一度読んだだけではただその世界を覗くだけで終わってしまい、理解するのは困難だとも思いました。
しかし、それでもなぜか繰り返し読んでみたい、この世界を知ってみたいと思わされる不思議な魅力も感じた、とてもインパクトのある一冊でした。

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