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ブルース覚書①

ブルースは下ネタがすべて・・・ではないけれど、ブルースから下ネタをとったら、バラバラに崩壊してしまうことは確かだ。ブルースは人種差別社会によって壊滅的な打撃を受けた人格を、ユーモアとセックスと怒りによって、人間の形につなぎとめようとする行為だからだ。19世紀末のアフリカ系アメリカ人にはどうしてもそれが必要だった。いいか悪いかは二の次である。


「アメリカの世界 ― それは黒人に真の自我意識を少しも与えてはくれず、自己をもう一つの世界の啓示を通してのみ見ることを許してくれる世界である。この二重意識、このたえず自己を他者の目によって見るという感覚、軽蔑と憐憫を楽しみながら傍観者として眺めているもう一つの世界の巻尺で自己の魂をはかっている感覚、このような感覚は、一種独特なものである。彼はいつでも自己の二重性を感じている ― アメリカ人であることと黒人であること。二つの魂、二つの思想、二つの調和することなき向上への努力、そしてひとつの黒い体のなかでたたかっている二つの思想。しかも、その身体を解体から防いでいるものは、頑強な体力だけなのである」(W・E・B・デュボイス『黒人のたましい』)


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