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自分、貧乏や言うても、イモのツル食うたことないやろ?

[やれば、変わる。変われば、わかる③]
※この連載は、無料アプリ「題目PRO」内にて無料連載しているため、noteでも無料記事としています。

〈前回のあらすじ〉
テッチャンは農家のおじさんに頼み込んで、草取りを手伝い、2000円もらったが、それに気付いていなかった。

〈本編〉
「昨日、お金まで・・・・・・すみません、ありがとうございました」
テッチャンが御礼を言うと、おじさんは農作業の手を止め、話をしてくれました。

「俺も職人のとき、苦しい時期あったからなあ。まだ若いんやから、頑張りや」
「はい、ありがとうございます」
「せやけど自分なんか裕福な方やで」
テッチャンが職にあぶれ、母親の住むハイツに嫁と子供をつれて転げ込み、働きはじめたものの、また仕事を失い、母親の年金とパートの稼ぎで食いつないでいることを知った上で、おじさんは言います。

「自分、芋のツル食うたこと無いやろ?」
「ありません」
「俺なんか、ほんまに食うもん無くて、毎日、親の畑のイモのツルを食うてたときあったからな」
「・・・・・・」
「それでもな、頑張ったら生きていけるねん。くじけたら、あかんぞ」
働き口が見つからなくても、いつもと同じようにごはんを食べている自分。
働いていないからエネルギーを放出できず、無為に夜更かしして、それは悩んでいるせいだと思っていた自分。
夜更かしをして体調が悪くなり、それも働けない理由にしていた自分。
なにより、「誰も仕事をくれないから、働けなくても仕方ない」と怠慢を他者のせいにして正当化していた自分。
それに思い当たり、テッチャンは恥ずかしくなりました。

テッチャンと何度めかの対話をしようと、私が彼を呼び出したのは、そんな時でした。
テッチャンは私に、農家のおじさんに話しかけて仕事をさせてもらったこと、キャベツと現金をもらったこと、おじさんから聞いた話を興奮しながら話しました。
そしてぽつりと言いました。
「僕は自分が頑張っていないこと、もっとやれることがあるはずだということが理解できました。
しかし、僕には何を頑張れば良いのか分からないんです。
ずっと面倒なことを後回しにしてきたから、頑張り方の引き出しがないんです。どうすれば良いですか」

テッチャンが主体的に自分を変えるために私に質問してきます。
これまでは何を言っても「僕には悩みがないんです。これまでもなんとかなってきたので」としか答えませんでした。
彼はいま、変わろうとしている。
ここからテッチャンの人生も、折伏も展開を変えられる。
私は彼に伝えました。
「人間ってな、ベストの選択しかできへんねん。
レストランで、『今日はグラタンが食べたいけど、あえて三番目に食べたいカレーにしよう』言う奴はおらんやろ。
それと同じでな、テッチャンが今まで面倒を後回しにしてきたこと、それは、その時のテッチャンにとってベストな選択やってん」
テッチャンはじっと聞いています。

「テッチャンは間違いなくベストを尽くしてきた。それは間違いない。
でもな、そのベストを尽くしてきての、今や。
これから自己ベストを更新していかなあかんねん。
小学生の時に走るのが早かった奴が、そのままの記録で高校生になったら、遅い奴になるねん。
歳をとるということはな、時間と引き換えに自己ベストを更新していかなあかんということやねん。
いま変わるときやと感じてるよな?
これまで絶対に言わんかったことを言うてきたもんな。
テッチャンのいのちは、変わりたいと言うてるねん。
でも頑張り方がわからへん。つまり変わり方がわからへんねや。
これまでと違う選択をしていかなあかん。
ここまで、理解できるか?」
「はい、わかります」
彼の真剣な目を見て、私も勝負をかけます。

〈つづく〉

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学会活動について思うところがある人のために書く。 学会員が言葉にしにくいことを、筆者自身、悩みながら整理して書く。学会員でない人が学会を理解するのにも役立つかも。 今までは楽しかったのに、なぜかモヤモヤする。これからの学会活動は、どうあるべきなのか。何をどう考えれば良いのか。 いずれ出版する内容を、先に安く読めるのがこのマガジン。これから2冊目の内容に突入。記事がたまって来たら値上がりするので、早めの購入がお得。

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