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鉄の女と”世紀の悪税”:大人も読みたい!中学生からの租税教育⑦

 今回は、シリーズ『大人も読みたい!中学生からの租税教育』第7弾。前回第6弾は”公平な課税”について見てきましたが、今回は更に深掘りしていきます。キーワードは”鉄の女”。まず連想するのは、ドラマ『半沢直樹』第7話(2020年8月30日TBS系放映)で“鉄の女”の異名を持つ開発投資銀行の谷川幸代を演じた、女優の西田尚美さん。とても画になるシーンなので今回の表紙カバーにさせて頂きました。

 前回の振り返りから入ります。過去の記事租税教室③:税金ゲーム実況してみた』では日本税理士連合会のHPの資料・イラストを引用しながら、実況中継。前回第6弾は”公平な課税”という考えについて、更に”どんなものに課税(What)”と、”どのように課税(How)”に分解して説明しました。

前回は税金ゲームを前提に、更に深掘りしました。

 その内、”どのように課税(How)”について再度見ていきます。課税の方法としまして、税の支払い能力に応じて税負担する”応能原則”という考え方と、行政サービス等、受益に応じて税負担する”応益原則”という考え方の2通りがあり、前者は累進税率、後者は比例税率を使って税額を算出します。
 ん!?右下部分で消費税が塞ぎ込んでいますね・・・。当記事の終盤に消費税について触れる(=伏線を回収する)のでご安心を。では、今回の内容に入っていきましょう。

応能原則と応益原則に基づき、各々税率の考えも異なります。

 冒頭の説明、ドラマ『半沢直樹』第7話(2020年8月30日TBS系放映)の中で”鉄の女”谷川幸代を演じた西田尚美さんの演技。ドラマの詳細(ネタバレ含む)はリンクを貼りましたので、宜しければご覧ください。第7話は”神回”とも言われるほど、当時の視聴者の皆さんは胸が熱くなり、「スカッ」としたと思います。
 他方、税金の世界で”鉄の女”といえばイギリスのサッチャー元首相”世紀の悪税”と呼ばれる『人頭税』の導入で有名です。悪税と呼ばれるほどですので、この記事を読み終えたときには「モヤッ」とするかもしれません。

”鉄の女”サッチャー元首相は「人頭税」を導入。

 イギリスで導入された人頭税とは、18歳以上の住民に一律課税するもので、納税者の税負担能力を全く無視。サッチャー元首相の想いとは裏腹に、イギリス国民は「弱者切り捨てだ!」と不満が爆発。これを機にサッチャー政権は退陣し、人頭税も1993年に廃止されました。

人頭税は「弱者切り捨て」。サッチャー政権は退陣しました。

 実は我が国日本でも、人頭税は存在しました。舞台は沖縄県八重山諸島。家族が増えると税金も増えるので、税逃れのため妊婦を殺す・・・という悲惨な実状がありました。しかも明治時代の1903年まで続いていた税制なんですね。

沖縄県八重山諸島でも、人頭税は1903年まで続いていました。

 ”妊婦が崖を飛ぶ村。転落ししたら・・・みんなで喜ぶ。”という動画もありますので、”閲覧注意!!”ということで、リンクを貼りました。気分が悪くなる実話ですが、税の歴史を紹介する上で避けられないと考え、紹介させて頂きました。

 ところで、消費税は「公平」なんでしょうか?前半で説明した”どのように課税(How)”のイラスト右下で、消費税が塞ぎ込んでいましたが、この伏線回収です。日本の場合、食料品にも消費税がかかります。ところが、収入が高い人も低い人も、食費はあまり変わらないという見方もあります。
 そうだとすると、貧しい人もお金持ちとあまり変わらない消費税負担することになります。給料の高い人には高い税を、低い人には低い税をという「公平」の考えが、消費税には全く通用しないということですね。この点、様々な立場で、様々な意見があるところなので、詳細説明は割愛致します。

「公平」の考えが、消費税には全く通用しない!?

 以上、如何だったでしょうか?歴史の過ちを繰り返さないために、我々は歴史を勉強しなければならないのでは、と考えています。次回は税の歴史の紹介。日本史の教科書で出てくる、卑弥呼や豊臣秀吉も登場します。

次回予告:日本史の教科書でも出てくる、卑弥呼等が登場します。

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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