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マイナス金利解除で金利のある世界に突入

19日の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を決定し17年ぶりに政策金利が引き上げられました。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)も撤廃され金融政策の正常化に向けて新たな段階に入った言って良いでしょう。

私も含め現役世代の方は長年低金利の世界で生活をしてきたため、金利の影響についてあまり実感がない方も多いと思います。
長年普通預金の利息は0.001%に設定されており、100万円貯金していても1年で10円、税(国税分15.315%+地方税分5%)引き後の利息は9円にしかなりません。マイナス金利が解除されたことで多くの金融機関で普通預金の金利が20倍に引き上げられましたが2それでも利息は200円、税引き後160円です。20倍になったとはいえ、インフレ下の現在ではペットボトル飲料を一本買うこともできない利息であり、まだまだ誤差の範囲ですね。今後、定期預金の金利も改定されると思いますが、利息で潤う実感を得られようになるにはまだまだ低金利ですね。

一方で預金の金利はどっちでも良いけど、住宅ローンの金利が気になるという方は多いのではないでしょうか?政策金利が上がればそれに連動して住宅ローン金利も上がります。
私も4年前に変動金利で住宅ローンを組んでおり返済まで30年以上あるので気掛かりです。ニッセイ基礎研究所の福本勇樹・金融調査室長によると物価上昇率が2%なら住宅ローンの変動金利も2%程度の上昇があり得ると想定し、家計のリスク管理をするべきだとコメントしています。
変動金利が2%になれば支払いはどの程度増えるのでしょうか?また、バブル期の一番金利が高かった時期は変動金利が7%もあったようですが、現在(0.5%)と2%、7%の際の支払い額を住宅ローンサイトでシュミレーションしてみました。

改めて見てみると、現在の金利負担が極めて低いことが分かりますね。3000万円を35年間借りても利息は270万円です。これが2%になると利息だけで1173万円、バブル期のピークでは5000万円以上になります。
今後の経済状況にもよりますが、2%程度に上昇する可能性は低くなく、現在変動金利で住宅ローンを組んでいる方は2~3割は毎月の支払いが増える可能性を考えた上で家計の管理をしていくべきだと思います。

ちなみに個人的な返済戦略としては、住宅ローン金利が3%を超えたら積極的に繰り上げ返済をし、それ以下であれば余剰資金を運用しようと考えています。現在の金利(0.5%程度であれば)であれば、他で運用すれば確実とは言えませんがそれ以上のパフォーマンスをあげる自信があるからです。また住宅ローンの場合は、団信(団体信用生命保険)に入っており、死亡時にはローンの返済を保障してもらえるので、無理に早い段階で残高を減らそうとは考えていません。今後金利が上昇したら、運用で増やした資金を元に繰り上げ返済を進めようと考えています。自分で運用できるパフォーマンスや団信のことなどを総合的に考慮すると私の中では3%を一つの基準としています。

いずれにせよ、異例の大規模金融緩和は終了し、金利のある世界に突入しました。それに備えて企業も個人も戦略を練るべきです。

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