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考える力

 人は考えるから人である。このことは、古から多くの人が語ってきたことと思う。また、人の中でも考えるのは我々ホモ・サピエンスの生き残るために手に入れた武器で、今の繁栄を享受出来るのも考え続けた結果で、太古の時代に生存競争に勝って以降もこの星で生き残り続けるために考え続けた結果が今の姿、今の世界と言える。  最初は、種の保存と言う生き物としての本能から考えると言う武器を得て、今のこの星で生き物として恐らくは最高の繁栄を手にした。そして、みんなか幸せになるはずだった。

    • 神奈川沖浪裏と北斎の飛沫

      私が相当好きな絵に神奈川沖浪がある。他にも若冲やモネの中にも相当好きな絵があるが裏葛飾北斎の作品は他の肉筆画を含めてもどこか違う構図の妙と言うべきか配置が期待どおりで作者の意図がいやらしいくらい感じられる。  特に富獄36景は、それで真っ向勝負していて神奈川沖浪裏が完璧なくらい、その最たるものに思える。全体の構図、バランスにも惚れ惚れするが、特に私は波から出ている水飛沫に惹かれる。遠くには富士をみあけ、近くには水飛沫が今にもかかって、その冷たさまで感じ取れる気がする。実際に船

      • 小説 日本を休もう2

         エッセンシャルワーカー、真司は店長からこの言葉を聞くまで、まさか自分がその一人だとは思ってもみなかった。自分は単なるフリーターで、どちらかと言うと今の状況に引け目さえ感じていた。それが今回のノアの箱舟プロジェクトでは、コンビニに係わる人々がエッセンシャルワーカーとしてばれたからだった。今日、店のオーナーでもある店長がとても嬉しそうにそのことを伝えてきた。聞けばこの店は元は代々続く酒屋だったが近所に大型スーパーやディスカウントストアができた影響で売上が下がり続けてやむなくコン

        • 我々の責任

          生理欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現、そして自己超越。有名なマズローの欲求段階説です。人は、原始的な最低限の欲求が満たされると崇高な精神性の欲求を求めて成長していくというもので、時代による差はあるものの広く認められている。21世紀に入り、自国、他国を問わす多くの歴史を振り返ることが出来る今、我々はこの欲求段階説を個人だけに留めず、国家の成長に適用すべきだと切に願う。 ある意味、地球の破壊、人類の終焉が見え始めた今だからこそ先行している国々は自己超越に向けて歩まな

        考える力

          小説 日本を休もう1

          その計画は、緊急事態宣言が解除された瞬間から着々と準備されていた。  そして、四月に入って祝日法の改正として発表された。その中身は、大喪の礼を遥かに超える大型連休で、戦前戦後をとおして最大限に日本を休むものであったが、今までの連休との大きな違いは、国民の行動を大きく抑制するところにあった。  オリンピックを控え、一気にコロナを抑え込もうとする狙いは誰の目にも明瞭であった。そのため、官邸、自治体、経済団体、各種組合、ネット、メディアが協力して日本復活のシナリオを創り上げ、食を含

          小説 日本を休もう1