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20240426 アイディアの地層

何年か継続して創作を続けていると、ある種のテクストを前にしたときに「こういう言葉に対して私たちはこうアプローチする」という構えがある程度定まってきたりする。”手癖”やいつも同じことをするということではなくて、ある一つの方向に向かって限界まで自分たちの感覚や技術を押し拡げる、というようなイメージが近い。

▼初めから誰しもできることをよりよくできるようにする、というよりかは、俳優それぞれが今できないことをまず必死にできるようにし、そこから可能な限り磨き上げるという感じなので、リハーサルをしている間は人並みに不安になったりもする。

▼「創作期間のアーティストは自信過剰と過度な不安とを行き来するもの」というのはドラマトゥルクの長島確さんの言葉だった。その二極のあいだで冷静に醒めてていられたら一番いいのだろうけど、稽古場での試行錯誤を繰り返していると多少なりとも感情の起伏が生まれるものだなぁと思ってしみじみしている。

▼「演劇」という表現を突き詰めて考えると、結局のところ生身の身体と付き合いながら言葉をどう発語するのかというところへと行き着く。動きだけを突き詰めていけばダンスやあるいはパントマイムにもたどり着くだろうけれど、テクストの言葉をどのようにして発し、空間の中で構成し、観客の中に印象を生み出していくかということをうんうんと呻吟しながら検討することになる。

▼検討するための材料はこれまでの創作の中にもあって、「あの時のあれ」「あの時ボツになったあのアイディア」「あの作品のあのシーンでやっていたやつ」みたいな蓄積が、カンパニーとしても、俳優の中にも折り重なっていたりする。もっと遡って10年以上前、「養成所にいたときに〇〇がやっていたあの演技」みたいなことでかつての演技を掘り起こして形にしていったりすることもある。

▼集団で創作を継続することの、よさは少なくともそういうところにあったりする。(よくないことやストレスももちろんそれなりにある)。そしてこれまでの創作と比べて、今回からすこし意識が変わっているとすると、舞台の上に俳優が立つ時のその意識の質なのだが、これについてはまた詳しく書くことにする。

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