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20240427 海の外へ、海の外へ

日本の演劇人として海外で活躍されてきた方は多くいらっしゃるけれども、私にとってまず真っ先に頭に浮かぶのは鈴木忠志さんで、その次が(間をいろいろ端折ってしまうと)平田オリザさんや宮城聰さん、岡田利規さんといった方々である(蜷川さんとかももちろん海外で公演をされてきてはいるし、近年では藤田俊太郎さんの例ももちろんあるけれども)。

▼鈴木さんと宮城さんは演出家で、平田さんと岡田さんはどちらも務められるが、どちらかというと劇作家という印象が強い。平田さんがフランスなどの海外に呼ばれて仕事をするようになったときに「演出家ではなくて劇作家として出ていくとよい」とアドバイスをされたのが鈴木さんだったと、平田さんの本で読んだ記憶がある。

▼演出家と劇作家はこれまでに日本から海外へ出て活躍している例があるということで、だとしたら俳優は?という気持ちになるのだった。「演出家ー劇作家ー俳優」という演劇のスリーマンセルにあって、思いきし海外で活躍する俳優が出てきたらさぞ痛快なのではないかという気持ちになっている。

▼もちろん個人で海外の劇場で仕事をされている例としてフランスのコンセルバトワールへと進まれた竹中香子さん近藤瑞季さん、ドイツの公立劇場で俳優として働かれている原サチコさんという方々がいる。彼の地で俳優として活躍するためにまず超えるべき言語の壁をまえにして、尋常ならざる努力を重ねられたことがブログやなんかで忍ばれて遥かな気持ちになる。(ピーター・ブルックさんと一緒に演劇をつくられていた笈田ヨシさんの例もある。土取利行さんの例も。もちろん、もっともっとたくさんいる。)

▼たとえばこれがフットボールなら、遠藤航や三苫薫、久保建英や冨安健洋といった例があって、日本人でも海外の一流のクラブチームで世界を相手に戦えることが現在進行形で証明されている。そんなふうにして海外の劇団で通用するような俳優になれないものだろうかと、ぼんやり考えていたりする。

▼どうしたってこの人生の間に演劇で海外へ行ってみたい。海外の観客を前にして自分が俳優としてどれくらい通用するのかを肌で感じてみたい。自分の演劇観をひっくり返されるようなすごい俳優と、一人でも多く出会いたい。世界の演劇の基準の中で、どこまでいけるのか自分という人間を試してみたい。今つくっている作品だって、いつか海外ツアーにいけないものかと、だから世界基準でつくっているのだと、恥ずかしげもなくいってみたりする。

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