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職場復帰して1週間経ったので振り返る2ヶ月育休のリアル

社会復帰してしまった。してしまったというのは、今月から奥さんがワンオペになってしまうことを心配しているからだ。

育休だと言っても会社のslackはちょくちょく見ていたり、たまに職場に行って話をしたりすることもあったので、思っていたより心理的な断絶はなかった。ただ、日中赤ちゃんが泣くか泣かないかを気にしなくてよくなったので気持ちが楽にはなった。

こういう気持ちもすぐに忘れてしまうのかなと言うのと、男性が育休を取ることに対しまだまだ社会はネガティブなのかなと言う印象もあるので、実際のところを書いてみる。

育休がないと夫婦のどちらかが潰れてしまう。

「ふたりでやっているのにこのつらさはマズいね」「気持ちに全然余裕がなくなる。イライラするなんてもんじゃない」と言う会話をよくした。ワンオペだとこの会話ができない。したとしても、普段何もしてないのに何が分かるの?と思ってしまうかもしれない。

近所に親戚が住んでいるわけでもなく里帰り出産もしなかったので、本当に夫婦2人ではじめての育児に立ち向かった。子供が生まれる前は睡眠時間など体力的なことばかり気になっていたが、今思えば一番ネックになったのは精神的余裕をどう確保するかの方が断然大きかった。

赤ちゃんは非常に脆弱な存在なので、自分たちが何かしらミスをしたらそのせいで大けがをしたり、うつ伏せで窒息してしまうようなことは平気で起こりうる。曜日感覚もなく、気持ちが張り詰めたまま24h暮らし、赤ちゃんは頻繁にギャン泣きする。ミルクを作ろうとバタバタし始めると更にそれを煽るような強弱のある泣き方に変わったりして「今あなたのためにやっているのに何で」という気持ちにもなる。

ふと赤ちゃんの泣き声を測ったら80dbを超えていた。地下鉄の車内とか人の怒鳴り声が大体その辺り。急に怒鳴られて理由も話してもらえないような状況が頻発する。時に耳にビリビリっとすることもあって、イヤホンを耳に突っ込んで赤ちゃんをあやしていたこともある。ずっと怒鳴ってる人がいる職場で退勤もなく四六時中頑張り続けるようなことなのだ。

親なんだからとか、みんなやってるんだから我慢しろだとか、そういう言葉が溢れている中で、真夜中によくミルクをあげつつママリを開いて悩み相談を見ていた。

自分のこどもなのにイライラしてしまったり憎らしく思ってしまってもいいのでしょうか、と言うお母さんの投稿に対し、多くの返信者は「私もそうだった。追い詰められないで」とコメントしていた。「親の自覚がない」などのコメントを付ける人も見られたが少数派で、それを読んでいた時に自分も救われた部分があった。

呪いの言葉が世のお母さんを追い込む

これは仕事でもそうだと思うのだけど、目の前の課題を誠実に対応しているだけでも結構なことなのにもかかわらず、誰かが持ってきたあるべき姿も同時に背負わなければならないプレッシャーに押しつぶされたり、不安になることはある。

「辛いことを辛いと言ってはいけない」「あなたは甘えている」「そういうことを言うのは不謹慎だ」「母親の自覚が全くない」などの、実際はそこに何の手も差し伸べてくれない自称善意の人たちが世のお母さんを追い込んでしまった結果、産後ウツになったりあかちゃんを毛布に投げつけてしまったりするんだろうな、そしてそれは元々悪意の人だったわけではなく、助けを求められなくて追い込まれてしまった結果もあるんだろうなという気持ちで、育休中にやっていた赤ちゃんへの虐待ニュースを見ていた。

まず、おとなが幸せであっていい

母子手帳にあった言葉で「おとなが幸せじゃないのに子供だけ幸せにはなれません。」とあった。

社会復帰してから、平日におむつ交換やミルクをあげる機会が減ってしまった。でもそのせいか、急に子供がかわいく見えたし、笑ってくれるようになった気がする。また、ちょっとくらい泣かれてもそこまでイライラに転嫁されることが少なくなった。これはひとえに心の余裕が出来たからだと思っている。誤解を恐れずに言えば、心理的には幸せになったのだ。余裕が出来たのだ。

育休のおかげで、いまのところ二人の子育てスキルにはそこまで差がないのが良かった。赤ちゃんの対応はシフト制にして、尿/便/ミルクの履歴は手書きノートで共有。そこから色々と赤ちゃんの行動は読めるためお互いにある程度の睡眠時間(普通に6時間以上寝ていた)を確保できるようにしていたし、奥さんは育休前の同僚と食事会や忘年会に行くこともよくあった。それに対し、お互い特に心配することはなかった。2ヶ月間休みなく戦友であったし、愚痴から想像できるつらさの解像度も高いからだ。

ここまで色々書いたけれど、子育てに幸せがないわけでは当然ない。ぐんぐん増えていくミルク量、謎の言語のバリエーション、表情、動きなどは見ていて全然飽きないし、今後どんなことに興味を持っていくのかなど、楽しみなことはたくさんある。ただ、そう言ったことが分からなくなるくらい余裕がなくなるような子育て、自己犠牲になってしまうことは避けたいし、そうなりそうな人がいたら何かしら手を差し伸べたいと思っている。

3ヶ月目に入り、家族みんなで出かけられることも増えてきた。少なくとも子供が大人になるまであと20年あるし、親の責任として両親が幸せそうなことは見せ続けていきたい。とりあえず明日は3連休の中日なので、奥さんは友だちと一日ショッピングモールに行ってくるらしい。うん。幸せそう。

もともと育休を取った経緯は下のエントリから。




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