長戸ひろし

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長戸ひろし

興味の赴くままに人文・社会科学全般を勉強・研究するブログ / たまに文学的な執筆も / 2003日本生

マガジン

  • 政治・経済学

    国際政治、経済政策、貨幣論など

  • 社会・人類学

    人類史、社会心理、未来予測など 表紙画像: https://en.m.wikipedia.org/wiki/File:Marx_and_Engels_at_the_Rheinische_Zeitung.jpg

  • 経営・会計学

    会計、財務、経営戦略など

  • 遊々俳句集

    俳句と共に随筆的なものを書いてます。たまに短歌。

最近の記事

[メモ] イングランド銀行の論文に基づいて、金融政策の構造を整理してみよう

【当記事は15分で読めます】 本稿は、公開市場操作、信用創造、マネタリーベース、マネーストック、量的・質的緩和、準備預金、マイナス金利といった概念を整理していくものです。 金融政策における近年の議論は、特に、信用創造という概念の理解をめぐっているようにも見えますが、筆者の理解は英国中央銀行(Bank of England)の四半期報(Quarterly Bulletin)に掲載された論文、McLeay, et al (2014) に概ね基づくものであることを始めに付記してお

    • [複式簿記のサイエンス②] 簿記という計算システムの構造的本質

      【当記事は20分で読めます】 ※本稿は前編「[複式〜①] 初学者でも分かる簿記の本質」の続きとなります。前編で述べた事を前提に議論を進めますので、未学・既学に関わらず、是非そちらをご覧になってから本稿にお進み下さい。 2. キャッシュ・フロー計算1. キャッシュ・フローとは 前編ではB/SとP/Lという二種類の基本的な財務諸表を紹介しましたが、一般的にはこれらにキャッシュ・フロー計算書(C/F)というものを加えた、いわゆる財務三表が基本的な財務諸表とされています。キャッシ

      • [複式簿記のサイエンス①] 初学者でも分かる簿記の本質

        【当記事は30分で読めます】 ※ 読み飛ばすことも可能なので人によります。 1. はじめに最初に断っておきますが、本書並びに本稿は試験簿記や実務簿記に直接的に役立つものでは一切ありません。本書の議論は形式的なものに捉われがちな簿記という記録システムが如何に構造的・理論的に成り立っているか、ということに焦点を当てており、良く言うと簿記の数学的な美しさを探求する斬新で学術的なもの、悪く言うと毒にも薬にもならないただの机上の空論です。 議論がやたらに難解で、Amazonレビュー

        • [随筆・俳句] 曼荼羅や 降るは供に 小夜時雨

          冬のロンドンにて  落陽が窮屈な灰色の空から失せ、暗澹たる寒さに包まれた石造りの街並みに鐘の余韻が残る頃、テムズ川のほとりに悠々と屹立する観覧車に私は心惹かれた。そぞろ歩きの市内観光に刺激を与えたかったのもあるが、夜陰を背景に光明を放つ円環から、この荘重な街並みに似つかわしくない、どこか神秘的な佇まいを感じ、その正体を確かめてみたくなったのだ。  日中に遠目から見た観覧車は、静止した一つの象牙細工の様であった。現代的なデザインが周囲の建造物との親和性を持たないという声もあ

        [メモ] イングランド銀行の論文に基づいて、金融政策の構造を整理してみよう

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        記事

          [新しい封建制がやってくる] 僕らは暗黒の中世を食い止めることができるのか

          【当記事は20分で読めます】 1. はじめに現代社会の分析及び若干の未来予測を様々な研究やデータと共に行なっている本書ですが、その主張は主に以下に要約されます。 「現代社会は、経済格差の拡大、社会的流動性の低下、宗教的思想の流布の3つの点で中世ヨーロッパの封建制社会に類似し、現代の社会的階級も中世のそれに準えることができる。」 内容は基本的にディストピア系の現状分析に留まり、今後の社会への具体的な提言はほぼありません。根拠とする個々のデータも、この記事をクリックして下さ

          [新しい封建制がやってくる] 僕らは暗黒の中世を食い止めることができるのか

          [安心社会から信頼社会へ] 他人を信頼できるアメリカ人と信頼できない日本人

          【当記事は20分で読めます】 1. 総務省の2018年の調査結果この本の出版は1998年、SNSの普及前の日本人の社会的形質について研究したものですが、現在においても同じ様な状況であることを確認するため、まずは2018年の総務省の調査結果を見てみましょう。 これだけを見ても「なるほど」という感じですが、日本とアメリカ(欧米諸国)との間では、現代においても他人に対する信頼において非常に大きな開きがある、ということを覚えておいてください。その意味についてはこれから説明していき

          [安心社会から信頼社会へ] 他人を信頼できるアメリカ人と信頼できない日本人