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「永遠の0(ゼロ)」百田尚樹さん(読書感想文)

百田さん、さすが。

映画のCMで、もっと怖いものかと
思っていたら、
宮部久蔵(みやべ・きゅうぞう)の孫の弟姉が、
第二次世界大戦のインタビューを
昔の特攻兵にしていく、という
現代との二構成だった。

映画で観たら無理だろうと
思える場面がいくつもあったが
活字なので、なんとか進めた。

孫たち(主人公・26才男子のプー太郎
・その姉30才のジャーナリスト志望)は
いろんな人の話を聞いて、
宮部の人物像に迫る。

ちなみに、宮部には妻、松乃と
幼い娘、清子がいる。

松乃は戦後、再婚して、
息子2人もできた。
松乃が亡くなった後に、
今の「おじいちゃん」に、
実は清子の父親は違う人だったと
聞いて、孫たちは本当の
祖父、宮部の姿を探り始める。

最初は、「臆病者」の汚名があったが
徐々に評価は変わり、
「優秀なパイロット」、
そして「本当の心のある人」へと
宮部の人物像が深堀されていく。

宮部は、松乃と清子のために
絶対生きて帰ろうと思っていたが
その誠実さから、最後は大石という
青年に「生きる」航空機を渡し、
自分は特攻隊として亡くなる。

おじいちゃんが宮部から
おばあちゃんを託されたこと、
おばあちゃんの死に際に、
軍服を着た宮部が迎えにきたこと、
そして米軍に突撃して、そのあまりの
勇敢さに、米軍が上半身だけになった
宮部の体を水葬させたこと、、
ひどい時代の中で起こる
誰も知らないエピソードに
百田さんの優しさを感じた。

しかし、戦時中というのは
100年前は江戸時代くらい、
100年後は現在くらい?
ちょんまげからケータイの間の
不思議な変換期。

それにしても愛って
なんなんだろうな、と思った。

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