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HOLY NIGHTS 第36話「洋介とかれんの間で揺れる純」(連続連続小説)

デライラを中心に、
洋介と純はダブルベッドに
川の字になって寝そべっていた。

洋介は、かつての
藤田の言葉を純に伝える。

「藤田さんは、
純はかれんに奪わせないって、
断言してた」

「ああ、そのコトなんだけど・・・」

純は長いこと言いそびれていた
かれんのバックグラウンドを
洋介に話した。

「へぇ・・・。意外に苦労してるんだね、
かれんさん」

洋介は神妙な顔をする。

「これを彼女の大胆さと見るか、
打算と見るか」

「そりゃ、両方だろう。
かれんさんは、純の目の前で、
ガバッと脱いだわけだ。
そこには愛やら何やら
いっぱい詰まっていて、
そんなかれんさんを
純は美しいと思う、違うか?」

洋介の言葉に
うなずくしかない純。
なぜだか泣けてきた。

「何で泣く?」

「わかんない。
かれんさんが全身で
ぶつかってきてるのに、
それを受け止めれない
自分の器の小ささや・・・
それにもまして・・・」

二人の間で和んでいたデライラは、
何気に空気を察し、
ベッドから飛び降りると
リビングの方に姿を消した。

「できた女房だな、デライラは」

「奥さんっつーよりは、母さんだよ」

純の言葉に、笑いながら
洋介は純を抱きしめる。

「で?」

純は洋介の胸の中に
顔を埋めてつぶやく。

「・・・かれんさんを
受け止めることで、
洋介が苦しむようなことは
絶対したくない」

意外な純の論点に、洋介は驚く。

「いつも自己中なのに、
なんでオレの心配なんてしてるんだ?」

「根本に関わることだから。
洋介がいないと、
オレ、生きてけない」

そうつぶやく純の髪を
そっとなでながら、洋介は言う。

「お前には藤田さんや、
その他、何人もいるくせに、
何を今更・・・まさか相当かれんさんに、
マイってるのか?」

純は首をかしげる。

「自分でもよくわかんない。
かれんさんに対して、
自分がどう出ていいのか。
でも、オレと聖司の関係が、
かれんさんとオレの間で生じたら・・・
洋介は、イヤだろ?」

洋介は、渋い顔をする。

確かに、純に何人、
男がいても致し方ない。
が、田中聖司のような
存在に対する純の態度は、
ムシズが走るような思いがあった。

つまり、純は、
誰に対しても‘守られるべき存在’で、
その純が、‘守るべき何か’を
見つけたとき、180度世界が変わる。

「・・・ああ、そうだな。
お前がかれんさんに
抱かれる分には結構だ。
だけど、かれんさんを
守ったり、庇護したりする
存在になりたいなら、
オレは、ちょっと、ムリだな」


            続


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