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HOLY NIGHTS 第35話「洋介に会いたいデライラと純」(連続連続小説)

デライアに、
「洋介のとこ、行こう!」と
言ったものの、
時間を見てみると12時半。

酒を飲んでいるので
車もバイクも使えないし、
まさかの電車も終電に
間に合わない。

純は、とりあえず
洋介に電話した。

「なんだよ、こんな時間に」

洋介はちょっと不機嫌に
電話に出る。

「飲んでる?」

「ああ、飲んで寝るとこだった」

「デライラが、会いたいって」

数秒の沈黙。

「猫如きに頼るな、純」

洋介のツッコミに、純は笑った。

「洋介んとこ、行っていい?」

純の言葉に、洋介はうーんとうなる。

「いいけど・・・」

浮かない返事に、純は攻撃する。

「洗濯物が増える、とか、
明日の朝食に困る、
とか考えてるだろう?」

「・・・朝食くらいは、買ってこいよ」

「ラジャー!」

「で、どうやって来るの?」

「もう、タクしかないだろ。
デライラをリュックに入れて、
朝食買って、そっち向かう」

「ああ、ああ、わかったよ」

洋介はそう言って電話を切る。

洗濯物が半端ないのは
いつものことだ。

互いの普段着、寝巻、シーツ。

しかも純のベッドはセミダブルだが、
洋介のはダブルときている。

「お前にうちに来たがる
わけがよーくわかる。
金は出せるが、手間はかけたくない。
そんな男だ、国沢純」

洋介は苦笑しながら、
純とデライラが来るのを待った。

1時間足らずで、
コンビニで山ほどの
酒と食糧を買い込んだ純が、
前リュック姿で
洋介の部屋にやってきた。

リュックは背負わず、
前向きに抱く。
すると、そこから
デライラの面倒くさそうな
顔がすぐ見える。

「デライラ、おいで!」

洋介の声に、デライラは、
純の腹を蹴って、
リュックから飛び出すと、
洋介の胸に飛び込む。

純はコンビニの袋を
ダイニングのテーブルに置きながら、
その様子をにらむ。

「ちっ。オレより先に、
デライラHUGかよ!」

デライラは洋介の腕の中で、
ゴロゴロとノドを鳴らしてる。

荷物を置いた純が
洋介のそばに行くと、
洋介は、純もデライラも抱きしめた。

「酒臭え!」

「お互いサマだ!」

洋介と純は、デライラを
はんさんで、しばらくHUGし合った。


           続


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