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[旅行記] ポルトガルを離れる日

最終日前日、ナザレからリスボンへバスで移動し、この日はリスボンを少しぶらぶらしながら、帰る準備というか、名残りを惜しむような一日に。もう見慣れたアズレージョ、ヨーロッパらしい街並みに右側通行の道路、街ゆく人々の顔立ち。どれも日本に戻ったら見れなくなる風景を、目に焼き付けていく。

ランチの時間、地元のカフェっぽいところと、なんだか人の気配が少なそうな小さい食堂のどちらにするか迷う。カフェの方に入り、昨日も食べた「豚肉のアレンテージョ風」があったので頼んでみたが、どうにも昨日のものとの差が激しくて。脂っこさが強くて、サッパリ感が足りない。ああ、料理する人によって美味しさってこんなに違うんだな、昨日のあの皿は、本当に良かったんだな、と認識を改める。

小さい食堂の方に後で寄ってみたら、なんだかすごい行列になっていて、しまった行くべきはこっちだったか、と軽く後悔。

夕食は、なんとなく最後に食べたかったのはスーパーで気になっていたあれこれの惣菜類。宿に行く前に立ち寄り、そして良さげなパン屋でパンを調達して、ひとりポルトガル最後の食事を楽しむ。

オリーブがたくさん種類があって、どれも美味しそうだったので少量ずつお願いしてみた。黒オリーブは甘みがあり、塩気はあまり強くない。緑オリーブはやはり苦味が強く、紫オリーブは塩気強めの苦味もあるけど甘みもほんのりで一番複雑。種がとられた緑オリーブは苦味があまりなく旨味と塩気が強い。

大きいオリーブはトマトペーストでマリネされていて、ピリピリ感もある。食べごたえもあるし、これが一番かも。小さいパプリカのチーズ詰めは、とてもスパイシー。 意外とパプリカがフレッシュでシャクッとするタイプ。チーズがトロリとしていて、これまた病みつきな美味しさがある。

白いのはリケイジャオン(Requeijao)。初日に食べたケイジョ・フレスコ(Queijo Fresco)と似ているのだけど、こちらのほうがコクが強くてほんのりミルクの甘さも感じる。

セイア(Seia)という土地は、チーズ(ケイジョ)作りで有名な場所と聞いていて、そのせいか、全般的にどの製品も他のチーズよりも少しお値段高め。一度は食べてみたくて今回買ってみたけれど、うん、確かに美味しい。塩気はほとんどなくて、濃厚なミルクの美味しいところをギュッとした感じ。

茄子っぽいのは、なんだかすごいフォルムで気になってしまったもの。なんだか良くわからないまま買ったのだけど、そのまんま茄子だった。中にはパプリカが一切れ挟まっていて、少し辛いピクルス。美味しいけど、結構大きくてひとつ丸ごとはちょっと多かったかな。

こんな惣菜たちとパンを、少し甘めのワインと共に。辛いピクルスとの相性がちょうど良い。

パンは、Pão Alentejano(パン・アレンテジャーノ)。中は少ししっとりもっちり、外はカリッと、いやガリッとした歯ごたえでそのコントラストが良い。少しだけ酸味があるサワードゥで、とても味わい深い。これは美味しいパンだ。

どれもこの土地らしい食材。そして、ぼんやりとポルトガルの旅を思い返しながら、暮れていく夕方。ポルトガルらしさを満喫した最後の夜。


翌日、午前中のフライトで東京へ。

その前に、最後にやっぱりひとつ食べたかったのは、ポルトガルといえばこれ。パステル・デ・ナタ、つまりエッグタルト。

宿の近くにどこか良い店あるかな、と思っていたら、目の前に割と有名で評判の良い店があった。全然気づかなかったけど、なんてラッキー。

ひとつ買ってそのままテイクアウト。作りたてなので、まだほんのり温かい。持ってみたときに意外だったのは、小ぶりなのにけっこう重いこと。食べてみると、まわりのパリパリ感がとても凄くて、でも中のカスタードはトロトロ。甘さはそこまで強くもなく、シナモンほんのり香る。

確かに、その辺のものと比べるとひとつレベルが上だと分かる。底の生地までサクサクで、どんなマジックなのかと不思議な気分。

ああ、確かに美味しいタルト。いい気分でポルトガルを後にできた。

オブリガータ、ポルトガル。
またいつか、来れたら良いね。

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