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「結」 ー Work ❶ ー Uzumakism

今回は制作工程を説明する。

▼前回を参照していない方はこちらを一読して欲しい。
「結」制作過程 ー PROROGUE ー Uzumakism


人に「絵を描いて欲しい」と頼まれた以上は「喜んで欲しい」と思う。
“むしょく”らしく、それでいて“依頼者”らしい物を目指したいので「実務作業」より「構想」の方が時間を必要とする。
何度か「MUSUBINA KITCHEN」に通いながら、“お店のイメージ”と“自分の描きたい物”を統合して行く。他人の気持ちになりきり自分の中に“別の人格”を上手く描けたら作業が捗り易い。自分が想いを馳せる人々と自身を殆ど同一視出来るくらいまで“別の人格”が描けたら一気にイメージが溢れ出て来る。


【イメージ①】ラフ画❶

真ん中に空間を置いて「結」の字を配置した初期のイメージ。
絵全体で「命」とか「繋がり」をテーマに表現した。
画の下の方に猫を描こうとした形跡がある。🐈.. . .

「結」と言う字を入れたのは「MUSUBINA KITCHEN」の店主のお孫さんが描いた絵を見た事が切っ掛けだ。

「結」の字を“野菜”や“果物”で見事に表現している。
隣り合う物が絶妙に違う色になる構成で配置され“色のバランス”が非常に良い。

確か、これを描いたのが4歳だか5歳だったと聞いている(うろ覚え)。小学校に行ってない子供がこの様な表現をするのだから興味深い。
この絵が表現する字と鮮やかな色が「イメージの扉」を開く大きな“鍵”となった。

【イメージ②】ラフ画❷

真ん中の空間に向かって“渦”を巻くイメージへと絵が変化した。
「結」の字も更に躍動感を増している。

2021年の後半くらいから“猫”と“渦”のイメージが頭の中を回る様になった。
そして絡み合う“図形”を深く考えずに紙に黙々と描くと、自分を集中させる事が出来ると気付いた。このラフ画が出来上がる頃に、最近の私の頭の中の世界と「MUSUBINA KITCHEN」のイメージが上手く融合し始めた様だ。
可愛いイメージも取り入れたかったので働き者の蜜蜂も右下に登場させた。木の根元の蛇は縁起の良い生き物だが好みが分かれそうだ。結局、ご飯を食べるお店だと言うのも考慮して最終画からは外した。


【イメージ③】ラフ画❸

イメージ②に比べて丁寧な描き込みではないラフ画。全体を俯瞰しながら、
オブジェクトの配置や大きさのバランスについて考え始めた段階の絵だ。

イメージ③が出来た頃から3枚のラフ画を行ったり来たりしながら描き加え最終イメージを完成させて行く。
作品「結」は、F8サイズ(380×455mm)の絵にする予定なので、このB5サイズ(182×257mm)を引き伸ばす必要がある。
実はこんなに大きな絵を描くのは初めてだ。

何故、大きな絵にしようと思ったかと言うと“伯父の死”が大きく関わっている。
それは、昨年鹿児島を訪問した際の話だ。まだ、存命中だった伯父と病院で面会を果たし、神戸へ帰るまでに残された少しの時間の中での巡り合わせ、まさに邂逅だ。
母の旧知のお友達が急遽ご縁を作ってくれて出会った77歳の画家(自称ではない本物の絵描き)さんのアトリエを訪問し一つの助言を受けたのだ。
「大きな絵を描きなさい。大きな絵は誤魔化しが効かないから自分の力を試すために良いでしょう」と。
その一言が今回の“むしょく”が初めて描く“大きな絵”に繋がったのだ。

さて、次回の “「結」 ー Work ❷ ー Uzumakism” は絵を大きく引き伸ばした方法についてだ。お楽しみに。

Work ❷ へ続く  ▶︎▶︎▶︎

「結」の物語    ▶︎▶︎▶︎  Phase 1

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「MUSUBINA KITCHEN」
〒653-0811 兵庫県神戸市長田区大塚町4丁目1−11
https://www.instagram.com/musubina_kitchen/

hidenori.yamauchi
https://www.instagram.com/hidenori.yamauchi/
私の伯父「山内秀德」の遺作を投稿しています。是非ご覧ください。

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