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治療用アプリは、事業としてどう進めていくのが現在の最適戦略か。

厚生労働省のHPで公開されましたが、
2024年2月10日(土)に行われる「JHVS2023 シンポジウム」に登壇します!

自分が出るのは

○SaMDベンチャー×大手企業 ~企業間連携のすすめ~

モデレータ:
 加藤 浩晃(デジタルハリウッド大学大学院 特任教授/東京医科歯科大学 臨床教授/アイリス株式会社 取締役副社長・最高戦略責任者(CSO)/医師)

パネリスト:
 髙橋 秀徳(DeepEyeVision株式会社 代表取締役CEO)
 上野 太郎(株式会社ニコン ヘルスケア事業部 マーケティング統括部 マーケティング部第二商品企画課 課長)
 上野 太郎(サスメド株式会社 代表取締役社長)
 社 謙一 (杏林製薬株式会社 創薬本部 臨床開発センター 開発推進部 部長)
 西川 玄希(厚生労働省医薬局医療機器審査管理課 医療機器審査調整官)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36917.html

というセッションです。

SaMD(Software as a Medical Device)という、いわゆる「プログラム医療機器」の関連の話なのですが、
サスメド社長の上野先生も登壇されるので、治療用アプリの話にも広がると思っています。

治療用アプリというのは、クリニックや病院で患者さんに薬(処方薬、医薬品)と同じように「アプリ」を処方する方法です。

治療用アプリは普通の医療関連アプリと明確に分けられていて、
「治療効果」がエビデンスとして認められているアプリです。

治験という、クオリティが担保されて、多くはその実施計画が事前にPMDA(日本で医薬品や医療機器、再生医療製品の承認審査などを行う独立行政法人)に相談(プロトコル相談)がなされた、いわば
最上級の臨床試験を行ったうえで、効果が証明されているものが「治療用アプリ」です。

このような治療用アプリですが、
医療機器のために、保険適用も狙うことが出来ます。
現に、日本で2024年1月現在、承認されている治療用アプリは3品目ありますが、それらのうちCureAppの2品目が保険適用を受けていて、サスメドの1品目が保険適用の途中です。


・・・みたいなこんな話は、このnoteを読んでいる人には当たり前すぎると思うので、
今日は、当日も話すかもしれないし話さないかもなのですが、
「治療用アプリを事業として進めるときの最適戦略」
について話をしていこうと思っています。

まず、この話をするときに自分の治療用アプリとの関連性を話していくと、

・厚生労働省で医政局 研究開発振興課 治験推進室室長補佐として、
 革新的な医療機器の開発環境の整備(治療用アプリなどデジタル医療機器 
 を含む)
・CureAppが2017年に日本初の治療用アプリである禁煙アプリで「治験」を
 行ったときのChief Medical Officer(厚生労働省を辞めた後)
・精神疾患向けの治療アプリを開発している「emol株式会社」に投資。
 その他、数社の治療用アプリ開発を行うベンチャー/大企業の戦略支援を 
 行っている。

と言った感じです。

では、
「治療用アプリを事業として進めるときの最適戦略」
ですが、これは明確に「3つのポイント」があります。

それは、もう結論から話すと
①ヘルスケアアプリ(非医療機器アプリ)から開発する
②医療者の座組(KOLを誰にして、どこで研究を行っていくか)
③学会のサイズ感(自社で選んだKOLと学会の関係)
です。

では、1つずつ説明をしていきます。
①ヘルスケアアプリ(非医療機器アプリ)から開発する
というところですが、

そもそも、治療用アプリとして臨床研究や治験を行っていくには、数年(早くて終わるまで3年)と数億円の時間とお金がかかっていきます。

この大きな意思決定を、アプリを作ってギャンブル的に行うのはさすがに大変なので、
だいぶ成功確度を高めてから行いたいと思うのが普通ではないでしょうか。

そのときのまず原則としては
・健康アプリを作ってみて、効果がありそうなら治療用アプリ開発をする
・効果がわからないとき、最初から治療用アプリとして開発しない
ということが言えると思っています。

臨床研究の前向きとか後ろ向きとか、観察研究や臨床試験、治験などの分類は、
自分が昔(4年前?)に作ったYouTube動画(今とちょっと変わっているけど、概要を知るにはこれでいいです)を見てもらいたいと思っています。

それはわかっている前提で話をしていくと、

現在、一番多くの治療用アプリを開発しているCureAppも、
医療機器として承認された禁煙アプリ(「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」)より前に、
「ascure(アスキュア)」という非医療機器のヘルスケアアプリを作っています。

この「ascure」は、企業の健康経営の文脈で、企業の社員の卒煙プログラムとして提供をしているものです。

医療機器は一度「完成品」を作ると、普通のWebサービスのように変更を簡単にできません。
ボタンの一つ、アプリのアイコンの一つの色であったとしても、
「製品が治療や診断・予防に対する有効性」に関連しているものだと、
「一変(いちへん)」というプロセスを経ないと変更していけないのです。
一変は、しっかり資料を準備して、6か月くらいかかることがあります。

そのため、
「これでかなり完成」といえるくらいの完成度まで高めてからアプリの臨床試験や治験を行いたい。

アプリは「スマホに症状の記録をしてもらう」だけの機能なら、
医療機器でなくヘルスケアアプリです。

その状態でアプリのUI/UXの改善を行っていき、(医療機器でないので普通のアプリと同じように改善していける)
開発企業としては疾患の予防や治療を直接意図しない中で、・・・

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