拡散的思考と収束的思考


前エントリーの「ギルフォードの創造性テストと小説著述」でギルフォードについて書いたので、ついでに拡散的思考と収束的思考について書いておきます(好きな分野なので)。

ギルフォードは、拡散的思考(Divergent thinking)と収束的思考(Convergent thinking)という概念を提唱しています。自分なりに説明すると次のようになります

拡散的思考 Divergent thinking  :  情熱的、主観的、創造的、アイデア
収束的思考 Convergent thinking  :  冷静、客観的、分析、深い思考

大体において、小説家や芸術家などは拡散的思考の持ち主に違いありません。オタク、テッキー、ハッカーな人物も拡散的思考です。企業などの集団では、拡散的思考の人々を、収束的思考の管理者が上手くコントロールすることで成立します。

前述の「ゼロからイチの幻想2  組み合わせの発想法」 のプロセスにおいては、次のような思考の切り替えをすると、上手くいきます。

目的を作る : 収束的思考
アイデアリストを作る : 拡散的思考
アイデアリストの評価と選択 : 収束的思考

拡散的思考だけで小説を書くと、自分には理解できますが散漫で独りよがりな内容になりがちです。拡散的思考の著者も、従来は収束的思考を持った編集者や校正者により上手くコントロールされていました。現在では著者一人で完結することも多く、拡散的思考だけに陥りがちです。 となると一人で拡散的思考、収束的思考を切り替えていくことが必要になります。つまりは、自分で拡散的思考で書き込み、自分で収束的思考で編集し校正する、という思考の切り替えをしながら進んでいくのが正しいのでしょう。

拙著「臨終師フォン」 においては、拡散的思考で著述し、時間をおいてから収束的思考に切り替えて読み返しコメントを書く。次に、拡散的思考でコメントを読み返し修正をする、という過程を繰り返しました。行き詰まっても、とりあえず書き散らしておいて、あとで修正すればいいと思うと気が楽でした。


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