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会話3.もし神様がいるなら

「……たくさんの人が来てたね」

「そうだね、良い人だったからね。僕は何回かしか会ってないけど、たくさんの人に好かれる人なのは初めて会った時に感じたよ」

「うん……」

「まあ、早すぎるよな」

「良い人から早死にするっていわれたりするけどさ」

「…僕らと同い年だもんなあ、君がいた大学の同期だったんだよね」

・・・

「ねえ、もしさ。もしこの世界に神様がいるならさ」

「うん」

「私は神様を嫌いになりそう」

「……」

「そこのタオルとって」

「はい」

「……」

「…やっぱりさ、神様って大変なんだよ」

「……」

「僕たちが住む世界と、僕たちがいう『あの世』とか『天国』もきっと神様が管理しててさ」

「うん…」

「きっと天国は人手不足なんだよ」

「……」

「だからさ、神様にヘッドハンティングされたんだよ」

「……」

「この世は良い人もいるけど、悪い人もいる。ほとんどの人間が寿命を全うできず病気で死ぬし、他人に命を奪われることもたくさんある。正直言ってこの世が素晴らしい世界であるとは一概に言えないよ。僕は死んだことが無いからわからないけど、神様からしたら、もしかしたらこの世界は天国に比べるとろくでもない世界なんだろう」

「……」

「だから良い人は早く神様のもとに行っちゃうんだろう。神様に手伝ってほしいといわれたんだよ」

「…そっか。先輩は優しくて、頼りになって…色んな人の手助けをしてた。神様から頼まれたら、先輩が断るわけないもん」

「そっか」

「そうだよ」

「……」

「……私は、先輩みたいに神様に気に入られないなあ」

「…どうして?」

「だって私は神様にムカついてるんだもん。もっとこっちに置いといてもいいじゃん、取っていくのが早すぎるんだよバカ、って思ってる」

「そっか」

「全然残される人の気持ちなんか考えてない。神様はずるいよ。私は、もっと先輩と、だって、――」

「……」

「――――」


【会話3.もし神様がいるなら 完】





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