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【リストの抽出を顧客ペルソナ&ジョブ理論で突破してみる】ーBtoB営業の再現性を高めるために必要なフレームワークを真正面から教科書通りに使うと営業センスが必要なポイントが出てくるかも②

教科書的なフレームワークに真正面から取り組んでも営業センスがないと突破できない部分がありますよねVol.2です。
思いのほか反響があって嬉しいです。

Vol.1はこちら↓

サラッと語られるリストの獲得・抽出

BtoB営業のフレームワーク「レベニューモデル」の一つ目の壁「リストの獲得」です。営業センスがあれば割とすんなり超えられる部分ですが、営業未経験の方やエンジニア出身だったりするとピンとこない部分だと思います。多くの教科書では

「営業が獲得してきたリードにコールして・・・」
「問い合わせなどで獲得してきたリードに・・・」

とあたかも「リストを抽出することに悩みはない」かのようなサラッとした書きぶりです。リストの抽出にスペースがほとんど割かれていない。営業マンとして言われたことありませんか?

新規営業はリストが9割

私もリストは超重要だと思います。というよりどこに営業すべきか?のリストに全神経を集中させていただような気もします。

そして、営業経験ない人は「リストって何?どこかに売ってるの?」と思いますよね。まあ確かにデータベースは売っているのですが、そのまま買うのはオススメできません。

リストの抽出・獲得の前にやるべきこと

まず今回の結論は、リストを抽出・獲得する前に、

  • 顧客ペルソナを磨き込むことと

  • 顧客の「かたづけるべき用事=ジョブ」にフォーカスすること

を明らかにすることをオススメします。これが教科書のフレームワークです。ここがビシッと決まると後ろの行動が勝手に決まってくる感覚です。

ちなみに、私の新卒は証券マンとして支店でのエリア営業(BtoC)でした。2社目はネット広告の営業ですのでBtoBですね。当時は理論もへったくれもなく、

質より量

不思議なもので量をこなしていくと自然と効率的な行動をとる様になります。無駄な時間を過ごしたな、と思う反面、経験から獲得した感覚なので、体に染み付いている気もします。

新規営業をする人であれば売るべきプロダクトはだいたい決まっています。誰に売りたいかも頭の中にはあるケースが多い。それをまずは徹底的に議論しましょう。ペルソナと言いながらデモグラ(年齢や性別、職業、業種、職種など)になる人は要注意です。

単なるデモグラのリストを抽出しても無駄打ちが多すぎて自分も組織も疲弊します。

ペルソナとかたづけるべき用事が決まったら何がイイのか【1】

なぜペルソナとかたづけるべき用事がビシッと決まるとリストの抽出がうまくいくのか?その理由は顧客が「用事を解決するために」取る行動がわかるからです。そこから先のリストの具体的な抽出手法はそんなに多くありません。自然に決まってくるでしょう。
だからさまざまな教科書でこの部分がサラッと描かれるんだと思うんですよね。でもその前提がわからないと確度の低いリストに延々とテレアポをし続ける、飛び込み営業をする、みたいな話になりかねないです。

  • データベースを購入する

  • 展示会に出展する

  • 手動で検索してリストアップする

  • ネット広告にターゲティング出稿する

でも、大事なことは「どのデータベースを買うか?」「どの展示会に出展するか?」「どうやってリストアップするか?」「どういうターゲティングをするか?」です。

ペルソナとかたづけるべき用事が決まったら何がイイのか【2】

かたづけるべき用事を設定できると良いことの二つ目は「トークスクリプトにかたづけるべき用事を入れることができる」です。

手動で検索したリストにテレアポやメール営業をするとします。そのリストはかたづけるべき用事がみんな同じなので、こういうトークスクリプトを作ることが可能です。

「かたづけるべき用事が○○な皆様にご案内しております八田と申します!」

と会話をスタートできるのです。これだけで電話の受付突破率は相当上がるはずですよね。
これも営業センスのある営業マンは自然にやりますが、センスないとできません。

なぜペルソナとかたづけるべき用事を決めずにリスト抽出してはいけないか?

このHowがないと無駄なリスト購入が続き、電話営業するにしても飛び込みするにしても、疲弊感がすごいし、トークスクリプトも決まりません。

例えば、私の新卒時代は電話帳をリスト化した「黒船」というデータベースがあり、担当のエリア(○○市△町x丁目)の電話番号に順番にかけていくということをしていました。当然ながらアポ率は計算するのも恐ろしいくらい低いです。気合いと根性は身につきますが営業成績は運任せで上がりません。

エリア担当としてのトークスクリプトは「この町を担当している八田です!」くらいしか決まらず、あとは出たところ勝負になります。相当難易度高いと思います。(これはこれで当意即妙な局面打開力が鍛えられます)

新規開拓営業の離職率が高い理由はこれです。センスがある人は売れるので長続きしますが、センスがない人には誰も教えてくれないので、辞めるしかないのです。とても不幸なことです。

ジョブ理論のほんのさわりだけ

そういえばジョブ理論の話を一つもしていませんでした。

詳しい話はやめておきますが、「クリステンセン ジョブ理論」と検索してみてください。ほんの触りだけで充分機能します。そういう意味では本当に凄い理論ですよね。難しいことを簡単に説明できる、というのは本当の天才だと思います。

Jobs to be done=かたづけるべき用事
この日本語訳は秀逸しすぎて鼻血が出そうです。

  • 「ある特定のシチュエーションで人(顧客)が成し遂げたい進歩を“ジョブ”と呼ぶ」

  • ジョブを進める手段として、人は特定の製品やサービスを消費する。その行為を「雇う(ハイア)」と呼ぶ

これだけでリストの抽出には十分です。

クリステンセン教授の著書ではミルクシェイクの例が出てきます。ミルクシェイクを買っている理由は味でも値段でもなく、「暇つぶし」だった、というものです。暇つぶしというジョブをミルクシェイクを雇うことによって解決していたのです。
(ミルクシェイクは飲むのに時間がかかる)

顧客には必ず「ジョブ」が付随します。だから「顧客」を単位として数えるのではなく「ジョブ」にフォーカスすることが重要です。人はジョブを解消することで快感(ゲイン)を得ます。もしくは悩み(ペイン)が解決します。

この「かたづけるべき用事」にフォーカスします。

ペルソナとかたづけるべき用事(ジョブ)がわかったらアポ率は上がるのか?

上がります。ペルソナは人ですが、ジョブは人ではなく、用事です。この人と行動がわかると営業するべきリストへのトークスクリプトが決まります。
何度も言いますが、、デモグラや業種だけではトークの切り口が変わらないので、確度が低過ぎるのです。

なぜみなさんの製品やサービスを買っているのか。誰が買っているのか、ではなく、なぜ買っているのか、です。

ドラッカーは同じようなことをドリルでも説明しています。ドリルが欲しいのではなく、穴を開けたいのだ!というやつです。

例えばみなさんはドリルメーカーの営業だとします。接客の時にスペックの話ばかりしそうです。
でもそこをグッと堪えて

どんな穴を開けたいのですか?

と聞けるか。
ミルクシェイクなら

退屈凌ぎにミルクシェイクいかがですか?

テレアポで一言目に

穴を開けたい皆さまへ、どんなサイズの穴でも開けられるドリルをご案内をしております。

と言えるか。ちょっとドリルだとおかしな感じになっちゃいますね・・・でも伝わりますでしょうか?

おそらくどんな業種でも悩みでも「顧客がなぜ買っているのか?」ペルソナとジョブを特定できれば、リストは抽出できるはずです。

今日の最後に

ペルソナ、ジョブ理論でリストの抽出と1次アプローチまでは突破できます。ただ、ここでもフォーマットだけでは突破できない営業センスが出てきてしまうんですよね。

ぜひ社内や営業部内でアイディアや意見を出し合ってみてください。営業センスがある人が混ざってくれればグッとアポ率やリードの獲得率が上がるはずです。

私も営業顧問先や資金調達支援先では毎日、毎週ペルソナとジョブのアイディア出しをやっています。何度も議論してると神が降りてくる瞬間に出会えます。それをCRMやSFAのツールで管理すると可視化されて超気持ちいいですよね。

営業のデジタル化で成果を出すために必要なのは古典的なフォーマットやセンスを現代的なツールや手法に置き換えることなんだと思います。

次回は9セルとバリュープロポジションを使って、継続接触リストへの再アプローチアイディアの出し方に切り込んでみたいと思います。

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