見出し画像

前回に続き、今回は展示マンスリー4つ目のブランドTomDixon(トムディクソン)の照明を紹介する。
トムディクソンに関しては、ちょうど今年(2023)のミラノデザインウィーク、ミラノサローネ/エウロルーチェで新作を発表し注目が集まっていたばかりで、その新作も今回展示することができてタイムリーだ。
photo : Takumi Ota

空間でのMELT シャンデリアの存在感がひときわ目を引く

TomDixon(トムディクソン)は、UKのデザイナー、トム・ディクソンによって2002年創設のブランド。家具、テーブルウェア、などライフスタイル製品がラインナップとしてあるが、約6割を占めるのが照明器具だ。
「ライフスタイルとは家具や照明などハードウエアのみで構成されるものでなく人間の視覚、 聴覚、 嗅覚、 味覚、 触覚といった五感を通じて感じること全てが含まれる」と捉えているトム・ディクソン。照明も形だけを見ると先鋭的で個性が強い印象ではあるが、実は本国ではレストランも運営するトム・ディクソンだけに五感を刺激しながらも、心地よさとテンションが上がるアイディアが反映されている。ゆえに、照明単体で完結するのではなく、さまざまな空間にレイアウトされて始めてトムディクソンの世界が伝わり、ユーザーの選択にきちんと染まることで、それぞれのトムディクソンが完成することになる。

MELT シリーズ
共通するのが、ポリカーボネート製のランプグローブ、色違いのバリエーションもあるのだが、展示期間中、夏真っ只中なので、テーブルライトを除いて少しでも涼しげにとシルバーを選んだ。

MELT フロアライト、まるで宇宙人がそこに立っているようにも見える

擬人化ともいうべくの存在感。入り口にあるだけで、「ようこそ ! 」と電子音のような声で迎えてくれるような様相だ。光源は一体型のLEDユニット。基本スペックは3000Kなので、白っぽい設定だけれども、だからこそランプシェードのカラーバリエーションによって表情が変わり、それが安定するのが3000Kの色温度なのだと思った。そして、ランプグローブを外し光そのものを直視すると眩しいけれど、この有機的な形によってグレアレス(眩しさの無い)効果を発揮している。

MELTのテーブルライト。これだけカッパー色を選んでみた。ウォールナットのカウンターと相性が良い。


一見派手で、好き嫌いがはっきり出そうなMELTだが、点灯すると確かにゴージャス感はあるけれど光自体を巧みに演出しているとも言える。そして、しばらく見ていると、シンプルな空間にリズムを作る効果がMELTにはあるのだと感じる。言い換えるとこれがあるだけで空間の陰影、立体感が増すのである。意外なのが、壁面や他にノイズになるような影も出ない。実際にランプシェードによって明るさはどれくらい変わるのだろうと思うと、MELTシリーズでは思いの外強くない。シャンデリアなど相当明るいのではないか・・という予測は外れた。明るすぎず、要は落ち着いた雰囲気と相性が良いということになる。今回L&D Lab.では、照明関連ネットワークの協力で、通常は調光できない仕様なところ、国内総代理店の許可をもらいMELTシャンデアだけ単独でDALI調光を組み込んだ。商業施設関連であれば、ホテルラウンジや大規模な飲食店、そして天井の高い空間にこれはお勧めな一点だ。

*DALI (デジタル・アドレッサブル・ライティング・インターフェース)照明制御の国際標準プロトコル

今回ポータブルライトがトムディクソンブランドに初登場
左が、BELL、右がMELT

ポータブルライトも初登場のトムディクソン。MELTについては、小さいけれども存在感はしっかりと、3段階の調光もついて使いやすい。
BELLは、すでに発売中のフロアライトのポータブルだ。この鏡面仕上げがまた派手かというと、そうでもない。今回ゴールドを展示しているが、重厚感があり、価格を見てもお得ではないかと思った。乳白アクリのディフューザーなので、光の拡散も品がある。
USB充電の器具側の先端がマグネットになっているところもセンスを感じる。

BEAT LIGHT シリーズ

BEATシリーズは、WIDE、FAT、TALLのマットブラック3種を展示

MELTが出る前、トムディクソンをイメージするのはこのBEATシリーズだったかもしれない。BEAT LIGHT は以前、WebマガジンAXISで連載を書いていたときも紹介していたが、そこでは

ディクソンはBeat Lightの開発のなかで、伝統技術を絶やさない活動もしています、彼の著書『DIXONARY』によると、Beat Lightは、インドの女性や子供たちが水を運ぶ水差しに関係しているそうです。昔から水差しは真鍮製できめ細かい槌めを真鍮に打ちこむ職人の技術が特徴です。それが近年では安価で質の悪いプラスチック製の水差しに変わりつつある。伝統技術が失われていくことを知ったディクソンは、職人たちの街、インドのジャイプール市に向かい新しい可能性を見出していくのです。真鍮製の水差しに施される伝統技術をBeat Lightの生産で活かし残していくのでした。

Webマガジン AXIS Lighting Edit 第8回より

と紹介している。ランプシェードの内側の槌目が美しいのは、熟練の職人の技術があるからなのだ。今は光源はハロゲンからLEDに変わっているが、ハロゲンの時の見え方から大きく印象が変わらないようなLED電球を選んでいる。通常既製品は調光対応ではないが、L&Dではこれも展示中、調光を施している。こちらも実際に見にきてもらえると調光を体感できる。

照明が変わることで空間の雰囲気がガラリと変わる

トムディクソン展示マンスリーは、
2023年 8月25日(金)まで
会期中は、水・木・金がレストラン営業
ご予約優先

予約、ほか問い合わせはこちらまで
https://lightanddishes.com/contact/  

会期、及び会期後、トムディクソンの展示製品の購入もできる
LIGHT & DISHES オンラインショップ
オンラインショップの各製品紹介には、
調光対応、ほかお勧めするレイアウトのアイディアもコメントしている

協力 : TDX株式会社  (https://www.tomdixon.tokyo/)
DALI制御協力
 : スマートライト株式会社 (https://smartlight.co.jp/) 
photo : Takumi Ota

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?