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みたことのなかった光景

去年の11月末に、沖縄に1泊2日の弾丸旅行をした。延び延びになっていた友人との旅。ずっと行きたかったレストラン「胃袋」さんに行くことだけが目的の旅だった。飾りのように空間に一つ二つ、オーナーの方のお気に入りと思われるペンダントライトが点いているだけで、あとはテーブルにキャンドルのみ。途中激しいスコールが厨房奥の窓から店内に叫んでいた。
強い雨音も最高のBGMだった。そして「料理は光で変わる」を実感した時間だった。
外にでると、雨上がりの様子。宿までのタクシーの中で、その空をみていた。月がしっかりと顔を出し、月光がゆっくり動いて漆黒の海に反射している。あの美意識の塊のような料理の余韻を最後まで演出しているかのようだった。

言葉にできない光

こんな沖縄の夜の空を見るのは初めてで。上の3枚の写真は夜中というか朝方というか、3時半から4時くらいの間に外に出て撮ったもの。モノクローム加工はしていない。なぜか目が覚めたのだ。「これを見ないと損する ! 」と叩き起こされたような感じだった。確かに、あのタクシーの中から見た優しく柔かな月の光とは違って、鋭い眼光のような、強い月明かりがモクモクとした分厚い雲の切れ間から刺している。とても白くて強い光だから分厚い雲を抑揚を施しながら内照するかのようにグラデーションしている。言葉にしたら消えてしまいそうで、息を飲んで静かに眺めていた。自然光の凄さと強さ。朝方だから、もうすぐこの月の光は弱くなっていくはず。もしかして消えていくのを惜しむように月が泣いているのか ? 泣き腫らした最後の泣きのように強い光だった。
「胃袋」の料理。朝方の月の光と雲。この二つに出会えた感動は、このあと私の挑戦へと繋がっていく。

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