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11月ですね。

11月ですね。10月の制作は、P20号が3点でした。まずまずのペース。

さて、大したトピックもないので、自分の無知を晒す話題を一つ。僕は絵を描いている時、ほぼ、BGMとして、YouTubeを見ていますが、そのお気に入りのチャンネルの中に、山田五郎のオトナの教養講座があります。

見ている人はご存知と思いますが、山田さんは美術史を勉強するために、ウィーンに留学していたほどなので、美術系YouTubeチャンネルとしては、他の追随を許さないほど、内容が濃いです。もちろん、話術も絶品。

最近ではベラスケスのラス・メニーナスの解説が圧巻でしたが、個人的になるほど〜と感心したトピックがあったので、それをご紹介します。あくまで僕が知らなかっただけ、あるいは山田さんも「これは俺の推測だけど……」と前置きして解説することがしばしばあるので、100%学問的に正しいとは言えませんが。

それは、近代の美術史の系譜の話です。大雑把に言えば、新古典主義(アングル)があり、ロマン主義(ドラクロア)があり、次に写実主義(クールベ)があり、写真が発明されて、印象主義のように、リアルさではない、芸術のための芸術に表現が大きく舵を切り、その後、シュールレアリスム、キュビスム、抽象表現主義など、表現が多様化して行ったと、漠然と理解していたのですが、どうやらそうでもないらしい、という話です。

19世紀に登場した芸術運動は、僕の中で、印象主義が最大というイメージだったのですが、同時期の象徴主義の方が、世界中で影響力が大きかったようです。確かに、モロー、フリードリッヒ、ベックリン、ラファエル前派、など神秘主義的というか、スピリチュアルというか、そういう、目に見えない、人間の内面の精神を描いた美術家たちは、たくさんいました。

その人間の内面を描くと言うのが、キーポイントです。現実世界を、科学的な姿勢で分析して描いたのが印象主義ですが、象徴主義は、人間の内的なイメージの視覚化です。

そして、クレーやカンディンスキーがミュンヘン美術院で学んだ先生は、当時の象徴主義の大家フランツ・フォン・シュトゥックという人でした。つまり、抽象絵画の起源は、目に見えない、人間の内面を描く象徴主義ということです。もちろん、ゴーギャンなどは、天使を描いているので、個別な作家では、混じり合っていますが。

つまり、現代美術と言えば、近代の合理性と二人三脚かと思いきや、元を正せばスピリチュアルだった、という話です。そう言えば、デュシャンの初期の絵画で、オーラを描いた人物画がありましたよね。

で、自分はどうなのか? 絵画は基本、内面の表現なので、多かれ少なかれ、スピリチュアルなものですが、僕には現代美術は合理的という先入観(つまり誤解)があるので、絵画作品の中では、スピリチュアル度が極端に低い方だと思います。歌麿をそのままトレースしているぐらいですから。

……これを書いていて、自分でも気づいていなかった、自分の美術観が少しわかった気がしてきたなぁ。

#アートの思考過程

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