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『もてたい』という願望

残された人生の時間が限られてきたという意識を持ち始めた69歳になった今頃になって人に好かれたい、もてたいという願望が日に日に強くなってきました。若い頃はどうだったのか考えてみました。

もてる男性の条件

若い人の場合は代表的なものに『三高』があります。高学歴、高収入、そして高い身長が三高の条件です。このほかにもルックスがいい、女性を楽しませる術を知っている。将来出世する期待が持てる等、様々なパターンがあります。

しかしシニアになると出世も身長も関係ありませんから一緒にいて楽しい人がもてます。これは男女に共通ですが、シニアになれば『いい人』以外の付加価値は必要とされません。ヨボヨボでもシワシワでもハゲでも構いません。いい人ならOKです。もっと好かれたいと考えているシニアはぜひ自分の人柄を磨きましょう。

ホストのNo.1男性は『聴き上手』だそうです。ホストクラブの客層は同業のサービス業の女性が多い。彼女たちはお客の愚痴など彼に話すそうです。その時彼は何をどうするべきか、何がいけないか等立ち入った話や具体的なアドバイスはしないそうです。

『そうなんや~、それはつらいね~』『何もできないけど、僕でよかったらいくらでも聞くからね~』こんな風にただ聞き役に徹するのです。彼女たちも愚痴をこぼしたところで何かが変わるとか改善されるなどとは思っていません。聞いてもらう事自体が最高の癒しになるのです。

相手の話を聴くという行為は、相手を信頼し、受け入れる事につながります。だからこそ聞いてもらった人は『自分自信を認めてもらえた』という満足感を得ることができ、そんな気持ちにしてくれた相手を『いい人』と思います。

『きみ』は特別だ

男女間の場合に恋愛小説やドラマの風景で作者が表現する場面は、付き合い始めに相手の気を引く為もあり、『君といると一番落ち着く』とか『きみなら本音で喋れる』といった、ある意味『きみ』の特別感を演出して、相手の自尊心をくすぐる事があります。それは相手のナルシズムを刺激する事で、一般にもてる男性の常とう手段です。言われた女性は『ア~、私ってすごい。自分って素敵!』と思えてしまい、うっかり相手の術にはまってしまいます。

人と人が長期間一緒に居ると、最初は相手に対して出さなかった欲望や怒りをだんだんむき出ししたり、相手に対しての要求が増えたりしてきます。自分の要求が増える分には『気持ちいい』と勘違いする事もできますが、相手の要求が増えてくると圧迫感を感じて疲れ始めます。

しかし、浮気相手にはそれがありません。正規の恋人や配偶者と比べて自分に対して必要以上に多くを要求してこないという距離感があります。生活を共有していないので、欲で何かを押し付けてきて怒ったりもしません。

浮気相手はとても自分に気を使ってくれます。自分の配偶者と比べて欲望や怒りをむきだしにせずに自分に接してくれます。つまり一緒に居ると心が安らぎます。正規の恋人や配偶者と一緒に居る時は相手の欲や怒りゆえに強い圧迫感を感じ、苦しみの刺激が生じます。

その状態で浮気相手に会うと一気にこれまで溜まっていた苦しみは解消され、その解消された落差の分だけ『ああ、気持ちいい。ものすごく楽だ。この人と一緒に居ると、とても幸せだ』という錯覚が生まれます。

不倫と幻想のベール

付き合い始めた頃はよくても、すぐに相手の欠点が目に付いてしまうのは、手に入らないうちは幻想のベールが掛かっていて、相手が現実以上によく見えたからにすぎません。30くらいの良さを持っている人なら、最初は300くらいに見えます。ところが、手に入れると現実は30くらいだった事が露呈してしまって、幻想が失われていきます。

その点、不倫は手に入らない状態がいつまでも続くので、『いつまでも素敵』と思い続けて幻想を保っていられます。

最初に相手を過剰に素敵なものとして妄想し、それが急速にしぼんでいくのを見て、『こんなはずじゃなかった』とか『本来こうあるべきなのに』と思う。その妄想と言うか幻想が強ければ強いほど、幻想のベールがはがれた時の落差は大きくなります。

そこで相手に『私の幻想通りになれ!』と指示してしまいます。ただ相手はあなたの幻想通りにはならないので、『幻滅した』となります。好きなのは相手ではなく、相手をきっかけに自分の頭で形成されたイメージです。現実の30が好きなのではなく、それによって脳内に生まれた幻想の300が好きだという事です。

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いくつになっても『もてたい』という煩悩の火は消えませんが、幻想や錯覚でもいいので、これを活用して目標を作り、自分を磨く事は意味深いと思います。

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