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たちばな

写真と俳句 その三十九


 新茶をいただける季節となりました。みなさま、いかがお過ごしですか。

 新茶は、四月下旬から五月中旬までに摘み取られるお茶のことで、一番茶と呼ばれています。
 六月の中旬から七月の初旬まで摘み取られるのが二番茶
 七月の下旬から八月の初旬までが三番茶
 九月下旬から十月初旬まで摘み取られるのが四番茶です。

 お茶は、気持ちを、ゆっくりと、穏やかにしてくれます。忙しい時こそ、少し、時間をとって、お茶をいただきたいものですね。


 タチバナとは

・伊豆半島以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するミカン科の常緑樹。日本に自生する唯一の野生ミカンで、奈良、平安時代には普通に自生していたが、現代では海岸沿いの山地や樹林内に細々と生き残る。

・野生のタチバナは環境省の定める絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、大規模のタチバナ群落がある高知県室戸市(旧安芸郡)の室戸岬亜熱帯性樹林や同県土佐市の甲原松尾山は国の天然記念物となっている。

・京都御所紫宸殿の前庭には平安時代から「左近の桜」と共に「右近の橘」としてタチバナが植えられており、右近衛府の官人が陳列する基準となっている。現代の紫宸殿には栽培品種が使われており、原種よりも大きな果実がなる。 

・タチバナは常緑樹であり、一年を通じて葉が緑色であることや、黄色い果実が比較的長い間、枝に残ることなどから繁栄を象徴する縁起の良い木とされる。タチバナの葉と果実をモチーフとした橘紋は、橘氏や武家の井伊、黒田氏等の家紋として使われた。

・万葉集、伊勢物語、源氏物語、枕草子といった古典にもしばしば登場し、この木に宿るとされるホトトギスは「橘鳥(たちばなどり)」との異名を持つ。

・タチバナという名は、天皇の命令によって中国へ赴き、不老長寿の実を持ち帰ったというタジマモリ(古事記では「多遅摩毛里」、日本書紀では「田道間守」との表記)の名にちなむという説が一般的。花の香りが立つことによるという説、冬でも実をつけて立つことによるという説もある。

庭木図鑑より



橘の花と蕾の写真です。
タチバナ
この写真の橘の木は、昭和51年(1976年)に、
京都御所で育成された苗木が植樹されたもの。
東京 千代田区



  右近の橘 京都御所 紫宸殿

 右近の橘は左近の桜と対で,紫宸殿南庭(だんてい)西側に植えられています。
 現在京都御所に植えられている右近の橘は,それまで植えられていた右近の橘が安政5年(1858年)に枯れたため,当時京都御所東側にあった学習院(開設当初(弘化4年・1847年)は学習所と称す)に植えられていた橘を移植したものです。
 樹齢が170年以上を経過しているため,やや弱ってきているので,花が咲き実をつけると木に負担がかかるため,できるだけ花を摘み取っています。

「《京都》御所と離宮の栞」
宮内庁京都事務所 刊



  駿河路や 花橘も 茶の匂ひ 松尾芭蕉


炭俵(すみだわら)の画像です。上記の場所の句が載っています。『国書総目録』所収著者:利牛(Rigyuu) 編孤屋(Kooku)野坡(Yaba)元禄七年刊(1694年)国文研蔵 https://kokusho.nijl.ac.jp
炭俵(すみだわら)
『国書総目録』所収
著者:利牛(Rigyuu) 編孤屋(Kooku)野坡(Yaba)
元禄七年刊(1694年)
国文研蔵
https://kokusho.nijl.ac.jp

左ページ 後半二行


するか地や 花橘も 茶の匂ひ 芭蕉
   この句は島田よりの便に


駿河路だなぁ 
橘の花が咲く季節 橘の爽やかな香りを想像していたが 
そんな橘でさえも
この駿河の茶所の地では、お茶の良い香りがするようだ

   この句は如舟へのお手紙とともに

筆者解釈


 芭蕉は、元禄七年(1694年)、五月、西への旅の途中で、大井川の川留のため、島田で四泊することになります。その時、お世話になった塚本如舟へ、おくった俳句です。芭蕉51歳頃。

 芭蕉は、『伊勢物語 東下り 駿河国』と『十六夜日記』の「駿河路」のことを、考えていたのではないかと思います。芭蕉とは、逆のルートを進んでいるのですが、その日記の内容を読むと、自分が通ってきた道をありありと表現されていたのではないでしょうか。

 『十六夜日記』は、弘安二年(1279年)から弘安六年(1283年)頃に書かれたとされています。作者は、藤原為家の側室である阿仏(あぶつ)。56歳頃という年齢で、日記を書きながら旅をされた。正妻の子との所領争いの問題を解決するために、鎌倉まで出かけた旅でした。結果としては、勝訴でしたが、それが分かったのは、既に亡くなった後でした。

 十六夜(いざよい)とは、ためらうという意味。阿仏が出発したのが十月一六日だったから、後世に題名とされたそうですが、「ためらい」や「月」を連想する言葉で、日記の中で月について詠ってもいるので、とても良いタイトルですね。

 阿仏の文章には、知り合いの山伏に遭遇したことを、『伊勢物語』と同じような状況が起こり、真似ているようだとあります。

 時代の変化に伴い、時々で、様変わりしている部分もあるでしょうが、想いを馳せると、その違いを楽しみ、自分の旅と重ねることができるのだと感じます。



アオスジアゲハの写真です。晴天の青空に、二頭、飛んでいます。颯爽と飛んでいます。

アオスジアゲハ
青条揚羽

総合研究大学院大学などの研究チームによると、
複眼の発達により、昆虫の中では最も多くの色を識別できるそうだ。
詳細は文末のURLにて



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風吹けば 花たちばなの 知らせかな 広在

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 島田市博物館 「田植の連句」

静岡新聞


島田市博物館の書は、以下からも、ご覧になれます。



夏みかんの花の写真です。
夏みかん


 手遊び


 お茶の香りもいいですが、柑橘の香りも素晴らしく、歩いているときに、ふわっと薫ると、思わず、立ち止まります。

 「茶摘」や、「みかんの花」の歌は、小学生の頃、夢中になっていた手遊びを想い出します。皆さんもされた覚えがあるのではないでしょうか。
 友人たちと、スピードアップしたり、アレンジしたりして、遊んでいました。とても楽しかったです。


  茶 摘

夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘じゃないか
茜襷(あかねだすき)に菅(すげ)の笠

日和つづきの今日此の頃を、
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ 摘め摘め
摘まねばならぬ
摘まにや日本の茶にならぬ

作詞・作曲者ともに不詳
文部省唱歌
世界の民謡・童謡より

手遊び『茶摘み』
めばえ幼稚園

  みかんの花咲く丘

みかんの花が咲いている 思い出の道丘の道
はるかに見える青い海 お船がとおく霞んでる

黒い煙をはきながら お船はどこへ行くのでしょう
波に揺られて島のかげ 汽笛がぼうと鳴りました

いつか来た丘母さんと 一緒に眺めたあの島よ
今日もひとりで見ていると やさしい母さん思われる

作詞:加藤 省吾 作曲:海沼 實
同志社女子大学より
 

5月の手遊び「みかんの花咲く丘」歌詞付
 hapiho/ハッピー保育ネットふくおか



ソロモンオウム
 散歩の途中で出会いました。
 ソロモン諸島のオウムの固有種だそうです。



山法師の写真です。
山法師が咲いています。


 以下の記事で、花水木と山法師について記しています。
よろしければ、ご参照ください。



アオスジアゲハ 昆虫最多の色センサー 総研大など解明


複眼進化研究の新機軸:視細胞のdeep homology 
 蟻川 謙太郎 氏 報告書
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-26650117/26650117seika.pdf

行動から探るチョウの色覚,視覚の認知生態学
生物たちが見る世界 木下 充代 氏(種生物学会 牧野氏・安元氏編)
https://researchmap.jp/m_kinoshita/misc/9360262


アゲハの色覚神経系の配線



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