Googleに学ぶUXデザイン
こんにちは。
今回は「GoogleとYahoo、どちらの検索エンジンが使いやすいか」について心理学的な観点から分析してみます。
みなさんはGoogleとYahoo、どちらの検索エンジンを普段使いますか?
私はYahooの検索エンジンはどこか使いにくさを感じるので、Googleを使っています。
国内の検索エンジンの利用率ランキングを見ると、Googleが全体の約75%のシェアを占める一方でYahooは15%程度です。
なぜ、このような差が生まれるのでしょうか。
その要因の1つとして「選択肢の多さ」が挙げられると考えられます。
ここでGoogleとYahooの検索エンジンを比較してみましょう。
GoogleとYahooの検索エンジンの画面を比較すると、Googleは検索欄のみのすっきりとした画面なのに対して、Yahooはニュースやオークションなど様々なコンテンツが並んでいます。
主観ですがYahooの画面は、クリックの選択肢が多すぎて使いにくさを感じませんか?
実際に消費者心理学の分野では、「選択肢が多い場合よりも少ない場合の方が消費者の意思決定を促進しやすい」ことが明らかにされています。
例えば代表的な研究に、アイエンガー教授の2000年の研究があります。
<アイエンガー教授の2000年の研究>
アイエンガー教授は、スーパーのジャム売り場においてジャムの種類を6種類と24種類に変えた場合で比較し、消費者の購買意思決定率に関する実験を行いました。その結果、ジャムの種類を6種類に絞った方が消費者の購買決定率が圧倒的に高かったそうです。また学生が課題を選んで取り組む場合においても、選択肢を少なくした方が提出率や課題の質が上がったそうです。
この研究は5000を超える論文に引用されるほど世界的に高い評価を受けています。 ちなみに最近、世界に大きな影響を与える経営思想家を表彰するThinkers50の2023年のランキングが発表されましたが、アイエンガー教授は世界に影響を与える経営思想家として表彰されています。
つまり消費者心理学的な観点からすると、「GoogleはYahooの画面よりもクリックする選択肢が少ないため、ユーザーはGoogleの検索エンジンの方が使いやすいと知覚している」と考えられます。逆に言えば、Yahooの画面は選択肢が増やしすぎて、ユーザーを困惑させるUXデザイン(ユーザー体験の設計)になってしまっているということです。
ちなみにGoogleは検索エンジンのシンプルさについて、サイモン・キングは次のように語っています。
「シンプルであることは必ずしも少ないという意味ではない。本当の意味は、ユーザーが取り返しのつかないうっかりミスをすることがほとんど不可能になるように、新しい体験をデザインすることなのだ」
Googleは顧客が何を一番に求めているのか分かっているからこそ、無駄を極限までそぎ落としたデザインができるのだと思います。
「顧客が一番求めている価値を見極めて、あえて提示する情報を絞る。」というGoogleのような視点は、情報量が増え続け情報過負荷と言われている時代の中で、これからますます重要になってくると思います。
ではまた!
参考:Iyengar, Sheena S. and Mark R. Lepper (2000),“When Choice is Demotivating: Can One Desire Too Much of a Good Thing?”Journal of Personality and Social Psychology, 79(6), 995-1006.
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