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Padletを活用して自主学習ノートを共有する。3つの仕掛けでハマった話。



はじめに

 この記事では、小学校において異なる学年同士が連携し、自主学習ノートをPadletを使って共有するプロジェクトについて紹介します。全校まではいかないけれど高学年ブロック全体で行うサイズ感の取り組みです。

Padletの活用により、教師、生徒、そして保護者に多大なメリットをもたらしたこの取り組みは、組織的な取り組みにも展開できるものと思っています。参考実践ということで紹介させていただきます。

自主学習(家庭学習)ノートは「学校」と「家庭」をぐるぐるさせる

旧来の学習ノート掲示の不便さ

 私の勤務校では学力向上の一つの方策として学校全体で「自主学習ノート」に取り組んでいます。全校で共通理解していることは「よい自学ノート=授業とつながる」ということです。よいノートはアナログな方法で掲示されていました。子供たちは自主学習ノートを提出し、教師はこれをコピーし、廊下に掲示するというプロセスを踏んでいました。

アナログな掲示方法 これはこれで悪くはない

しかし、この方法にはいくつかの課題がありました。まず、ノートのコピー作業は教師にとって手間がかかり、時間を奪っていました。そこまで時間をかけていられないのが現場です。

組織的な取り組みにしたいが、温度差は生まれる

 自学ノート指導に熱量のある先生のクラスの廊下にはたくさんのノートコピーが、そうではない先生のクラスにはささやかな量のノートのコピーが掲示されることになるのです。
 結局全校で取り組みましょうと声をかけても全校で組織的な取り組みにならないこともあります。温度差も生まれます。学力向上という大きな目的に向かうためにはやはりチームで取り組むことが求められます。

そこで自主学習ノートのデジタル共有化

こうした課題に対処すべく、Padletというデジタルツールを導入しました。Padletはオンラインの掲示板のようなサービスで、画像やテキストを簡単に共有できる特徴を持っています。詳しくは以下のリンクから

この新たなアプローチでは、生徒たちは自主学習ノートをデジタルで提出し、Padlet上で共有します。そして、異なる学年の生徒たちがお互いのノートを閲覧し、学びを共有する仕組みを築きました。この方法にはいくつかの利点があります。

仕掛け① 

ハッシュタグ# をつけた:「#授業とつながっている」

Padlet内で導入した仕掛け一つが、「#」(ハッシュタグ)をつけることでした。SNSでもおなじみ、教師が投稿する際に望ましいノート作りの視点を示すために特定のハッシュタグをつけ、それを検索キーワードとして活用できるようにしました。
例として以下のようなものがあります。

  • 「#授業とつながる」

  • 「#深掘り」

  • 「#テスト直し」

  • 「#ふりかえり」

  • 「#意味調べ」

  • 「#アウトプット」

  • 「#家でもやってみた」

ハッシュタグでノート作りの視点を示す

また、算数の自主学習ノートには「算数」というタイトルをつけ、他の生徒たちが関連するノートを簡単に見つけることができるようにしました。

投稿タイトルに教科名で検索


 Padlet内でノートを投稿する際に、タイトルに教科名を入力するルールを導入しました。これにより、4つのクラスの担任教師が共通で入力することで、クラスを超えた検索が可能となり、生徒たちは特定の教科のノートを簡単に見つけることができるようになりました。

仕掛け②

異学年4クラス合同での運用

 このプロジェクトの特徴的な点は、4つのクラスが協力してPadletを運用したことです。私の勤務校では、5年生2クラスと6年生2クラスがあり、合計で100人以上の生徒が自主学習ノートを共有する状況が生まれました。また投稿クラスごとに台紙の色を変えて色検索もできるようにしました。

クラスごとに色を変える

また、PdletのQRコードを各クラスの学級通信に示すことで、保護者の方にも啓発する機会を提供しました。これにより、家庭でのバックアップも強化され、保護者も子供たちの学習に積極的に参加できる状態が整いました。

よいノートに引っぱられ続出

このデジタル自主学習共有コーナー、通称「自学 パドレット」は大きな反響を呼びました。特に5年生は6年生の見本となるノートを閲覧でき、友達からの「いいね」ボタンを押してもらうことで承認欲求も満たされました。この取り組みがはまり、5年生の自学ノートのクオリティが一段階向上しました。
このプロジェクトの最も素晴らしい側面の一つは、異なる学年同士の交流が促進されたことです。生徒たちは異なる学年のノートを閲覧し、お互いに学びを共有しました。異学年の交流により、新しい友達を作り、視野を広げ、学習への新たな情熱が生まれました。

仕掛け③

 名前を伏せる

パドレットの運用にはいくつかのルールを設けました。まず、児童のプライバシーを守るため、誰が書いたノートかが分からないようにするために、写真の中に名前を含めないことを取り決めました。こうすることで、ノートの質が名前に依存せず、学習の質に焦点が当てられました。

また、現在は教師がノートをアップロードする形を採用していますが、今後は生徒自身がノートを共有できる運用方法も検討しています。生徒たちが自分のノートを共有したいという場合にも柔軟に対応できるようになるでしょう。


どんなメリットがあったのか?

児童へのメリット

生徒たちにとって、このデジタル自主学習共有は多くのメリットをもたらしました。まず、他の学年のノートを見ることで、異なるアプローチや学習方法を学び、自分の学習を向上させる機会が増えました。また、友達や他の生徒からのフィードバックを通じて、自信を持つことができ、学習意欲が高まりました。

いいねの数が増えるとやっぱり嬉しい。

教師へのメリット

教師にとってもこの新しいアプローチは多くのメリットをもたらしました。従来のアナログなノートのコピー作業がなくなり、教師は自由な時間にノートの写真を撮り、Padletにアップロードすることができました。また、検索機能を導入し、クラスごとの台紙の色や#を活用することで、授業と連動するノートを素早く見つけることができるようになりました。
 さらに若手の先生にとってはベテランの先生がどういうノートを選んでいるのか、どんなコメントを書いているのか知るチャンスにもなります。

ベテランの先生のコメントを読むのも教師にとってはよい刺激・勉強になる

保護者へのメリット

保護者側としても多くのメリットがありました。Padletを使用することで、保護者は自分のスマートフォンから子供たちのノートを確認することができ、家庭学習へのサポートが迅速かつ効果的に行えるようになりました。このプラットフォームにより、家庭と学校の連携が一層強化され、子供たちの成長を共にサポートできる環境が整いました。


結論:Padletを活用した自主学習ノートの新たな時代

Padletを活用した自主学習ノートの共有プロジェクトは、小学校教育において新たな時代を切り拓きました。異学年の協力やデジタルツールの活用により、生徒、教師、保護者が共に学び、成長する環境が築かれました。今後もさらなる発展が期待され、子供たちの学びがより豊かなものとなることでしょう。興味ある先生、学年会などで話題にして、自分の学校でも導入してみてはいかがでしょう?

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