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「トランスジェンダーポリス」第三話

第三話 「地下アイドル誘拐事件」

栗本の携帯が鳴る『プルルルル。プルルルル』
待ち受け画面に蜜柑係長の名前
栗本「はい、栗本です」少しためらいながら携帯に出る
蜜柑「栗本、フルーティ娘の家出騒動はどうなった?」淡々と聞く
栗本「あっ、はい、問題ありません。ただの家出みたいです」
少し焦り気味で嘘をつく
蜜柑「だろー、大の大人が、きっと漫画喫茶かカラオケボックスだろ?」
呆れた様子
栗本「あっ、係長、パトロール終わったら直帰します。野苺刑事に
夕食誘われて」
野苺「係長、お願いしまーす。栗本先輩とデートしますー」
聞こえるように言う
蜜柑「了解、明日二人とも公休だし。はめ外すなよ」
栗本「はい、それでは失礼します」『ピッ』携帯を切る音
栗本「危ない危ない、何とか係長を誤魔化せましたね」安心した様子
野苺「そうですね。今度、ほんとにデートしてくださいね」天然炸裂
瓜田「あーこんな時にお熱いこと。この刑事さん達で解決できるの?」


『ポオーポオー』汽笛が鳴る音
古びた倉庫内に犬、猿、雉の仮面を被った男たちと両手両足を結束バンドで拘束された桃園ピーチと富良野メロンが地面に座っている
猿「本当に上手くいくのか?」少し焦った様子
犬「もう、こうなった以上やるしかないだろ」開き直った様子
雉「しかし、あの刑事達は余分だったんじゃないか?」3人で言い争う様子
犬「いや、あの刑事たちがいて丁度良かった」
「奴らはあの現場にいた刑事達だ」
猿「しっかし、いい女だなー」ピーチの顔に自分の顔を近づける
メロン「ピーチちゃん怖いよ」全身が震えている『ブルブルブル』
ピーチ「大丈夫。アタシ等は、大事な人質だよ」メロンを安心させる
猿「人の心配より自分の心配しなよ」ピーチの胸元を引きちぎる
『ビリッー』Tシャツが破け胸元が露わになる
ピーチ「くっ、てめー」猿を睨みつける
メロン 心の声「あっ、ピーチちゃん前より膨らんでる?手術したの?」
天然炸裂
犬「猿、やめとけ、大事な人質だ。取引が終わったら好きにしていいぞ」
猿を静止させる
猿「くっ、たまんねーな。早く終わらせようぜ」ピーチをジロジロ見つめる
雉「そろそろ30分経つぞ。連絡するか」パソコンを打ち出す
『カチャカチャカチャ』

フルーティー娘のシェアハウス
突然、猿の縫いぐるみからボイスが聞こえる
メロン「社長・・・助けて・・・ください」メロンのおびえた声
瓜田「あっ、メロン、無事なのね?ピーチは?」心配そうな顔
ピーチ「社長、早くこいつ等の要求飲んで下さい」怒り気味な声
瓜田「ピーチ!二人とも無事なのね?よかった」少し安心する
栗本「人質の安否は確認した。あなた達の要求はなんですか?」強気な口調
ボイス「まず、君たちに、この猿の縫いぐるみの中にあるワイヤレス
イヤホンを装着してもらう。背中のファスナーを開けてみろ」
野苺が縫いぐるみのファスナーを開けワイヤレスイヤホンを取り出す
「あったわ」
瓜田、栗本、野苺の三人が片耳にイヤホンを装着する
ボイス「このワイヤレスイヤホンは、GPS機能と監視カメラ付きだ
我々と会話もできる」
「もちろん、君たちの会話も聞き取れる優れものだ」
栗本「なんだと、これじゃーイヤホンを外さない限り、24時間
監視されている状況だ」
瓜田「これを着けて何をすればいいの?どうすれば二人を
返してくれるの?」
ボイス「今から社長にメールする。それを今日中に実行しろ」
「それぞれの役割を達成出来たら、人質を解放する」
「健闘を祈る」『ピッ』猿の縫いぐるみから音声が切れる
瓜田社長にメールが届きそれを見る三人
瓜田「こっ、これは?私はやるわ」
「あなた達もお願いね。二人の命が掛かってるのよ」
栗本「これは?どういう事だ?」首をかしげる
野苺「監視されてる以上、奴らに従うしかないわね」開き直った様子
栗本が時計を見る「まだ間に合うぞ、急ごう」急いでマンションを出る三人


鶴亀署取調室
鬼頭亀吉が柘榴刑事から取り調べを受けている
柘榴「おいおい、また黙秘かい?」「君の場合、現行犯逮捕だし」
「刑事に公務執行妨害だろ?」「刃物での殺人未遂だし」「防犯カメラにも全部映ってるし」「早く、自白した方がいいと思うけどな?」
鬼頭「・・・」全く口を開こうとしない
別室で様子を見る蜜柑係長と西瓜刑事
蜜柑「完全黙秘ね、拘留期間まで後5日か」
西瓜「物証の刃物が無く、防犯カメラにも刃物が死角で映ってない
んですよね、それで起訴できるんですか?」
そこに栗本刑事、野苺刑事が現れる
栗本「係長、実は相談があります」焦った様子
蜜柑「ん?あんた達、今日、直帰でデートじゃなかったの?」
不思議そうな顔
西瓜「マジ?柿ノ上可哀そうに、ははは」柿ノ上の不幸を喜んでいる
野苺「そうなんです。でもお邪魔が入って」蜜柑係長の腕を組み強行犯係の応接室に連れて行く
そこに瓜田社長が座っている
瓜田「あのー係長さん、お話があるんだけど」少しうつむき加減
瓜田「鬼頭亀吉を不起訴にしてほしいの」意を決した様子
蜜柑「えっ?どういう事ですか?」「鬼頭容疑者は、あなたの事務所の
タレントさんを刃物で襲ったんですよ」驚いた様子
瓜田「いやー、あの時、確かに舞台に上がってきたわ」「でもピーチにハグする感じだった様な気がして」「刃物は持ってなかった様な気がして」
蜜柑「いやいや、それは内の栗本も見てますし、実際、警棒で阻止しましたし」「ねっ、栗本?そうでしょ?」横にいた栗本に振る
栗本「それが、さっき社長さんに言われて、そんな気がしてきました」
「あの時、凄く怖くて手が震えてましたし・・・幻覚かも?」おどけた様子
蜜柑「野苺、あなたはどうなの、現場見てたでしょ?」野苺に振る
野苺「私は、お客様を誘導してましたので、わかりません」きっぱり答える
西瓜「どうなってるの?被害者側と逮捕した刑事がそれじゃー、本当に
不起訴になっちゃうよ」「物証も見つかんないし、あっ!」
つい口を滑らせてしまう
蜜柑「わかりました。でも、私の一存では決められません」
「署長に相談して来ます。少々お待ちください」席を立ち署長室に向かう

三人のイヤホンから犯人の声「よしいいぞ、これで鬼頭さんが不起訴に
なったら、人質を解放する」「はははは、物証は我々が持っているんだよ」
栗本 心の声「あの時、鬼頭だけじゃなく何人か共犯がいたのか?」
野苺 心の声「裏サイトにキビ団子が欲しい人集まれて書いてあったわ」
蜜柑係長が戻って来る
蜜柑「署長の確認が取れました。鬼頭亀吉を不起訴にします」
残念そうな表情
釈放される鬼頭が栗本の前で口を開く
「あの時の刑事!腕が痛てなー」「ピーチにハグしようとしただけなのに」「これ、過剰防衛じゃなくて傷害じゃねー。訴えてやるぞークソ刑事」
悪態をついて鶴亀署を出る
栗本「くっ、この野郎ー」気持ちを抑える、柘榴刑事が肩を叩き宥める
『ポンポン』
柘榴「すまん、俺が奴を落とせなかったばっかりに」しょんぼりする
三人のイヤホンから音声が流れる「いいか、遠足も帰るまでが遠足だ、鬼頭さんがここに無事帰るまで人質は解放しない」
「それから、鬼頭さんを尾行したり、変な真似したら人質を殺す。そのままイヤホンを着けそこに待機していろ」
栗本「ちっ、用意周到だな。必ず約束を守れよ」切れ気味に言う
瓜田「頼むから、無事ピーチとメロンを返して頂戴ね」手を合わせ拝む
野苺「もー、係長たちがそこに居るのに、報告できないなんてー」
イライラした様子


タクシーを拾い走り出す鬼頭
鬼頭の携帯のバイブ音『ブルブルブル ブルブルブル』上着のポケットから携帯を出す
鬼頭「おう、犬丸弁護士さん、不起訴になったぞ」目を輝かせる
犬「はい、接見の時に鬼頭さんと策を練ったかいがありましたね」
ドヤ顔をする
猿「鬼頭さん、早く戻ってきてよ。もう俺、我慢できねーよ」
股間を抑えピーチを見る
雉「でも気を付けて下さい。警察もGPSで追ってるんじゃないですか?」
鬼頭「ははは、心配すんな、対策は考えてある。」
「計画通りメロンは解放しろピーチだけそのまま拘束だ」
鬼頭の乗せたタクシーがアダルトショップの駐車場に入る
タクシーを尾行する一台の車、運転席に柿ノ上刑事、助手席に西瓜刑事
柿ノ上「なんだ、なんだアダルトショップなんかに寄って何買うつもりだ」
西瓜「二週間も拘束されてたんだ、溜まってんだろ」
柿ノ上「しかし、本当に誘拐事件だったとわな」
西瓜「栗本の機転のおかげだな」「係長が電話した時に、携帯を切る
振りしてそのまま通話にしてたから、犯人との会話が全部こちらに
伝わっていた」

回想シーン
栗本「はい、栗本です」少しためらいながら携帯に出る
蜜柑「栗本、フルーティ娘の家出騒動はどうなった?」淡々と聞く
栗本「あっ、はい、問題ありません。ただの家出みたいです」少し焦り気味
蜜柑「だろー、大の大人が、きっと漫画喫茶かカラオケボックスだろ?」
呆れた様子
栗本「あっ、係長、パトロール終わったら直帰します。野苺刑事に
夕食誘われて」
野苺「係長、お願いしまーす。栗本先輩とデートしますー」
聞こえるように言う
蜜柑「了解、明日二人とも公休だし。はめ外すなよ」
栗本「はい、それでは失礼します」『ピッ』携帯を切る音
栗本「危ない危ない、何とか係長を誤魔化せましたね」安心した様子
野苺「そうですね。今度、ほんとにデートしてくださいね」天然炸裂
回想シーン終了

柿ノ上「奴らの策に乗って鬼頭を不起訴扱いにし、奴を泳がせ監禁場所を取り押さえる。名案だな」
「しかし栗本め、俺を出し抜いてミルクちゃんとデートの約束なんて
しやがって」少し興奮気味
西瓜「いやいや、野苺から誘てたよ。お前なんて眼中にないよ
柿ノ上アウト」ニヤニヤする
柿ノ上「くそー、なんであんなひ弱そうな奴がもてんだよー」頭を抱える
西瓜「おっ、出てきたぞーいっぱい買ってるな」
「タクシーに乗った!行くぞ」
タクシーを追いながらナビに映る鬼頭のGPSを確認して尾行する柿ノ上刑事と西瓜刑事
四話に続く

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