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第15回 依存のいろは

依存症ってなに?


 母親が、依存症だとわかったのは大学生の頃だったと思う。
 高校生の時は、訳も分からず、酔っ払い記憶をなくす母親の世話をしていた。
 仕事を始めてからも、金銭問題を起こした場合には肩代わりしたりしていた。
 そういうのを、イネイブリングというらしい。
依存行動の手助けをしていたのだ。
 呪いのように、酔っ払うと「あんたなんか産まなきゃ良かった」と泣きながら、言い続ける母親、でも自分は母親にとって良い子供でいたかった。
 笑顔で、仲の良い、幸せな家族、父親のいない家族でも、周りと遜色のない家族になれるんだって、その時は、根拠のない思いを、どこかで自分にも言い聞かせるように過ごしていた。
 
両親が揃っていても、今時だって「毒親」なんて呼ばれる両親も存在する。周りの家族が順風満帆であるばかりでないことにも気がつけない。自分だけの視野が全て、子供なんてそんなもんだろう。
 病気って言うのは、恐ろしい。自分の固定観念も価値観も捻じ曲げてしまう。家族の関係もどんどんと悪化していき、兄弟は非行に走り、子供は家に寄り付かなくなる。家族関係の破綻を招くこともある。

 自分に知識がないのは、本当に恐ろしいことでもある。
 視野が狭いことにも気が付かずに、自分の世界はここだけなんだと思い込みながら生活をしていた。
 依存症の問題は、時折ニュースでも取り沙汰されることも多いけど、まだまだ自分の家族が依存症かどうか、気がつくことは難しいのかもしれない。
 そして、依存症には完治はない。一般的には、寛解と言って、その症状が治ってるだけで、いつでも再発する可能性がある。
 家族も、本人も一生の付き合いとなる。
 まぁ、治療においては最近は、家族会などの支援する団体も多く存在しているのだけど。

 そんなこんなで、あっという間に自分も年をとったなぁと感じる。

 

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