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スザニの刺し方(ステッチ)〜針のユルマ

前回はかぎ針によるユルマをご紹介しましたが、今回は「普通のチェーン・ステッチ」である針のユルマです。

刺繍枠は使わない

かぎ針のユルマは枠を使いますが、針のユルマは刺繍枠を使わずに刺します。
片膝を立て、布端を足で押さえて、布にテンションを与えながら刺すこともあります。

針先はどちらかというと向こうから手前へ向けることが多いようです。
そのあたりのことはコチラ。

ユルマによる表現

ユルマは、かぎ針でも針でも、皆さんよくご存知のチェーン・ステッチですので、ステッチは線状になります。大別しますと、
(1)線を描く
(2)面を埋める
(3)面を縁取る
といった表現の種類があります。

(1)線を描く

文字通り、ユルマで単線を刺しています。シルクの光沢がきらめいていますね。布地は木綿の平織りです。

(1)線を描く のサンプル(刺繍布スザニの部分 広島県立美術館蔵)

(2)面を埋める

面を埋めるユルマはかぎ針のユルマと基本的に同じです。前回の記事もご覧ください。

(3)面を縁取る

ユルマは縁取りにも使われます(便利に使えます)。
下の写真では、ボスマ(黄色、ピンク、藍色)の面を、ユルマ(赤茶色)で縁取ったり、区画を区切ったりしています。縁取りを入れることでボスマの輪郭が滑らかに見え、面の存在が強調されます。
このスザニはとりわけ絹糸の輝きが際立っています。
ボスマの端がキザギザになってしまったら、ユルマで縁取って挽回することもできそうです。

(3)面を縁取る のサンプル(刺繍布スザニの部分 広島県立美術館蔵)

この刺し方は枠を使わないので、手軽に試していただけるかもしれません。日本ではナントカ刺繍針と名前のついた針がたくさんありますが、中央アジアではそんな細かいことは気にいたしませんよ。糸が通れば、お手持ちの普通の縫い針で大丈夫、さぁ、ひと目、線1本から刺してみませんか?

そして、ユルマの可能性はまだまだ続くのです(今後すこし寄り道するかもしれませんが、まだユルマ語り尽くしておりませんので戻ってきます)。