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歩くように生きる

散歩は、ほとんどライフワークだなと思う。

大体どんなところでも楽しめるのだけど、贅沢を言うなら「自然のある町並みや住宅街」がやっぱり一番面白い。
あんまり都会過ぎてもしんどいし、逆に変化が無さすぎても物足りなくて、人の暮らしや日々の営み、動植物の息遣いが感じられる場所が、一番いい。

旅先でも、観光地から逸れた細い路地や古くからの商店街を歩くのが好き。
普段は結局、自分の家の近くを散歩していることが多いのだけど、いくら歩いても不思議と飽きない。

陽の傾き、植物の芽吹き、風の匂い。人々の動き、猫や鳥たちの様子。同じ日は、一日だってない。

先月、大雪が降った翌日に散歩をした。

樹々に降り積もった雪が粉砂糖のようで、しばらく見惚れる。
落ちていた蝋梅の花を拾って、香りを胸いっぱいに吸い込む。
小さな神社にお参りをして、今度は白梅を見つけた。
枝の間を素早く駆け上っていく生き物がいて、よく見るとメジロの番だった。
鶯色の体と目元の白い縁取りが可愛い。お腹にかけてオレンジ色のグラデーションになっているんだなぁ。

かろうじて撮れたメジロ

歩きながら、絵や言葉のイメージがポンと出てくることもある。上手くまとまらなかった考えがすっきりすることも多い。
足を動かし外の空気を肌で感じることは、私にとって生きることの基本だ。

西陽の当たるマンションの階段で、のんびりする野良猫。それを撫でる住人のお兄さん。
川を泳ぐカルガモはオレンジ色の足を器用に動かしながら、横目でこちらの気配を伺っている。
太った野ネズミが河原の土の中から顔を出した時は驚いたなぁ。
枝の上からシジュウカラが種をプレゼントしてくれた(落とした)こともあったっけ。

一歩家を出れば、目眩く世界が広がっていて、どんなに変わり映えのない日常でも同じ日は一日としてなく、世界は刺激に満ち溢れていれる。

散歩して、感じて考えて、絵や文にして、それを通してちょっと人と交わる。
今も昔も、それはずっと変わっていなくて、たぶんおばあちゃんになっても同じことやっているんだろうな、と思う。

さて、明日はどこを歩こうかなぁ。

散歩中のスケッチから絵を描く
路地のスケッチ

©︎綿草ひろこ

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