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「あなたにも必ずできます。だって、こんな私にできたのだから♡」の恐怖。


商品やサービス、イベントやセミナーなどの告知の文章の最後に、よく出てくるフレーズがある。

「あなたにも必ずできます。だって、こんな私にできたのだから。」

私はこの1文が苦手だ。というか正直、嫌いだ。


精神論を語るのにはいいだろう。

自身のつらい経験、苦しい経験を語った後に、「だからあなたも頑張って」と言うのはいいと思う(尊敬する人から言われたらグッとくるかもしれない。そうじゃなければ余計なお世話と思うかもしれない)


だけど、自分の商品やサービスを売るとき、セミナーや講座などを紹介するときに使うフレーズではないと思う。
理由は3つある。

3つを説明していく前に、会社を辞めて独立した当時に、よく遭遇した出来事を思い出してみたい。


会社を辞めて独立したのは、30代の初め。自分でビジネスをやったことなんてないから、最初は、変なものによく勧誘された。

ランチの誘いだと思っていったら、宗教の勧誘だったり。いい商品だと思って使っていたら、急に、売り手にならないかと誘われたり。

ビジネス系のセミナーやランチ会などで、ちょっと仲良くなった人にカフェに誘われる、ということが、次第に恐怖になったほどだ。

勧誘してくる人の誘いの手口が、だいたいこれだった。

「さわらぎさんにも、必ずできるよ。だって、こんな私にも、できたんだから」


おいおいおい、待ってくれ。待ってくれ。と心の中で叫んだ。おかしいじゃないか。

私が「おかしい」と思うのは3点だ。

① なぜ、他人のあなたにできたことが、私に「必ず」できると言えるのか?

② なぜ、さわらぎさん「にも」と、私をあなたより「下」に見ているのか?

③ 自分のことを「こんな」とかいう人から、何かを教わりたいとは思わないのだが?

詳しく書いてみたい。


① なぜ、他人のあなたにできたことが、私に「必ず」できると言えるのか?


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「私にできたんだから、あなたにもできる」に根拠はない。

しかも、相手は初対面の人なのだ。


告知の文章などだと、相手は知らない人のことが多いだろう。というか、顔が見えてない。顔も見えていない相手に対して、自分ができたことを、あなたもできると言い張れる理由はどこにあるのだろう。

しかも「必ず」ときたもんだ。

こういわれて、「自分もできるのか~」と思ってやったとして、できなかったら、その人はどう感じるだろう。

誰にもできることが、私にはできないのか、と落ち込むのではないだろうか。

誰かに何かを教えるときは、「自分にできたことが、必ずしも、万人に通用するわけではないのでは?」と立ち止まることが必要だと思う。

そのうえで、再現性100%で、このやり方ならだれでも、どんな人でも、絶対に、間違いなく再現できると確信できるのであれば、そう言えばいいし、書けばいい。でもそんなこと、どれぐらいあるのだろうか。

当たり前だけれど、人はそれぞれ別の人間なのだ。


② なぜ、さわらぎさん「にも」と、私をあなたより「下」に見ているのか?

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たぶん相手は、意識せずに使っていると思うが、「あなたにも」という言い方は、相手を下に見ている。(読み手にはそう見える)

なぜ、初対面のあなたに、「あなたは私よりも下ね」と言われないといけないのか。

酷いときは、こう言われる。

「さわらぎさんにだって、必ずできる。」

だってってなんだよ。私の何を知っているんだ。勝手に人を下に見てんじゃねーよ。とその時私は思っていた。

言っている人や書いている人に悪気はないだろうが、受け手はそう思うこともあるのだ。


③ 自分のことを「こんな」とかいう人から、何かを教わりたいとは思わないのだが?

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告知の文章の最後によくある「あなたにも必ずできます。だって、こんな私にできたのだから」の3つ目の不思議は、

講師や先生であるべきその人が、自分のことを「こんな私」と言っていることだ。

(人を下に見たと思ったら、急に自分を下げてきた)

自分のことを「こんな私」という人から、何かを教わりたいと、私なら思わない。卑下したり遠慮したりしているのかもしれないが、人に何かを教えるなら、「こんな私」ではないと思うのだ。

あなたにも必ずできます。だって、こんな私にできたのだから(笑)。
のような文章もよく見る。

(笑)。これも曲者だ。真剣に読んできた人からしたら、なんだか馬鹿にされたような気分になる。


告知の文章の最後によくある、
「あなたにも必ずできます。だって、こんな私にできたのだから。」
という系の1文が、私は苦手だ。

文章は、発信した時点で、受け手のものになる。「そんなつもりで書いたんじゃない」は、通用しないと私は思う。


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