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スウェーデンの極端な人たち

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一見のんびりしているスウェーデンですが、動き始めたら驚くべきスピードで変化していく社会や人々の行動変化の兆候について書いています(以前に個人ブログで書いた記事も転載しています)。
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記事一覧

グレタが語るヌーディスト・パーティー

今朝のswelogの記事を編集して転載したものです。 「どこの国の政治家であっても、政治家というものは似たようなもの」。グレタ・トゥーンベリは昨年、ニューヨークの国連でのあの怒りのスピーチに始まる世界を駆け巡った長い旅を振り返り、そう切り捨てる。 「みんな(私と)一緒に写真を取るために列をなし、インスタグラムにアップしてもいいかと質問し、もっともらしい気候関係のタグをつけてアップして、少しは罪悪感が軽くなったことに胸をなでおろす」 ___________________

小括、でもわからないことだらけ

今朝のswelogの記事を転載したものです。 今回のコロナ堝でスウェーデンは幼稚園や小中学校を休校にしなかったが、子どもたちが感染拡大の主な原因となることは考えられず、また高齢者の死亡率との関連性は低いと結論づけるレポートが昨日、Acta Paediatricaに発表された。 レポートをまとめたのはカロリンスカ研究所の研究者グループで、5月11日までに発表された世界中の700の論文の中から子どもの感染拡大への影響について述べられている47の論文を選び出し分析をおこなった。

スウェーデンと集団免疫

今朝のswelogの記事を転載したものです。 スウェーデンはコロナ危機にどう対応してきたかを4月12日に一度まとめた時に「スウェーデンの公衆衛生庁は”集団免疫を獲得して新型コロナウイルスに対抗する”という考え方を採用していない」と書いたが、自分でもなんだかうまく説明できていないような気がしていた。 公衆衛生庁のアンデシュ・デグネルが、昨日のインタビューでそのあたりをうまく答えてくれていたので、紹介します。 --- ストックホルム大学の疫学数理の教授トム・ブリットンのチ

もうスウェーデンだけ特別じゃない

これまで強固なロックダウンを実施してきたイタリアやスペイン、そしてスウェーデンの隣国のノルウェーやデンマークも、今週以降、外出禁止令を緩和し、今後は最善の方法を模索しながら社会を徐々にオープンしていくことになる。 世界の中でもユニークだと注目を集めていたスウェーデンの対策と、他のヨーロッパ諸国の対策の差は今後は徐々に縮まっていくだろう。人々は少しずつ時間をかけて社会に戻り、感染を拡大させないように細心の注意を払って暮らしていくことになる。 スウェーデンと、徹底した社会隔離

コロナの今、スウェーデンで暮らして思うこと

【2020年5月11日追記】 今日公開された渋谷陽一さんといとうせいこうさんのポッドキャストでもスウェーデンの現状をお話させていただきました。こちらも合わせてぜひ。 ------------------------ SIGHT RADIO 渋谷陽一といとうせいこうの話せばわかる!政治も社会も No.14 スウェーデン・レポート:世界が注目するコロナ対策の実像 ゲスト:ブロムベリひろみさん(スウェーデン・ニュースウォッチブログswelog運営、スウェーデン在住) 【Apple

スウェーデンの「寒冷浴場」巡り

冷たい水1999年夏のスウェーデンはいい天気に恵まれ、じっとしていると汗ばむほど。その勢いで誘われるままこの国で初めて行った海水浴で、私は北欧の底力(?)を知ることになった。スウェーデンの海は夏でも冷たい。 太陽が白い砂浜に惜しみなく降り注ぎ、子どもたちははしゃぎまわっているのに、きらきら光る海水に足を伸ばせば、それは私には飛び上がるほどの冷たさだ。夏なのに海水はたったの18度。よくみると、ずっと海に浸かって遊んでいる子どもたちの唇は紫色だ。 それまでに知っていた夏の海の

氷の女とマインドフルネス寒冷浴

サウナ、じゃなくてカルバアド私はスウェーデンのカルバアド(寒冷浴)が好きだ。 スウェーデンのカルバアドは、フィンランドのサウナと共通点もあるが別物だ。サウナの喜びが体をやさしく包む熱い蒸気やその後の外気にあるとすれば、カルバアドの魅力はその名の通り「冷たい水で沐浴」する点にある。 スウェーデン語のカルバアド(Kallbad)をそのまま訳せば「冷浴」。 スウェーデン各地にあるカルバアドヒュース(Kallbadhus・寒冷浴の家)は海上や湖上または岸辺に建てられたサウナのあ

グレタの希望とヨハン・ロックストロームの悲観と今日の夕食

今日のブログ(swelog.miraioffice.com) 記事と同じ内容です 昨日、米タイム誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選出され、COP25の演説では政治家には希望はないが「希望は人々の中にある」と話したグレタ・トゥーンベリ。彼女の演説はスウェーデン国営放送のニュースサイトで生中継され、直後にSVTの気候問題専門の記者が解説をしていた。 (上の動画は12月18日まで全世界で視聴可能) 番組をみていて気になったのは、グレタの前に登壇したヨハン・ロックストローム

ジーンズの未来・オーガニックデニム Nudie

(2019年11月19日のブログ記事からの転載です) 今日は自分の好きなブランドについての話題なので、ちょっと嬉しい。 スウェーデンのヨーテボリでオーガニックデニムを使ったジーンズメーカーヌーディージーンズ(Nudie Jeans)が創業したのは今から18年前の2001年。(下記の記事でもヌーディーに触れています) いまや世界中に熱狂的なファンを持つブランドに育ったヌーディージーンズ。競争やビジネス環境の厳しい衣料業界で成功した秘訣を創業者にきいたインタビューがスウェー

スーパーマーケットが脱プラしてみたら!

「脱プラ、ノープラ、プラなし」。プラスティックごみ問題の深刻化に伴い、プラスティックをなるべく減らした暮らしを実践する人も少しずつ増えてきた今日この頃。スウェーデンではスーパーがプラスティックを使った製品を棚からすべて取り除くという事態が発生! さて、どうなった? 一晩でスーパーの棚が空っぽに10月29日火曜日の朝、ストックホルム郊外のとあるスーパーマーケットにきた人たちは驚いた。いつもは食品や雑貨でいっぱいの棚が空っぽになっていたからだ。 このスーパーでは、前日夜10時

北欧、北極圏と気候危機

地球全体の気温上昇レベルと比べて、スウェーデンでは気候変動の影響が2倍強くなっている。北極圏の海の氷は1979年と比べて41%も減少しており、今週からストックホルムの北方民族博物館では「氷が溶けていく時」という大型企画展示も始まった。 日本の超大型台風に気候問題の危機を感じる人もいるだろうが、北欧に住む私がじわじわと感じる気候の変化と脅威に関してまとめてみようと思う。 「ただ今の地球」を正しく把握しようスウェーデンの大手ニュースメディア、ダーゲンズ・ニュヘテルが「気候問題

「牛乳なんてやめろ!」広告戦争とその未来

スウェーデン発のオート麦ミルクは牛乳を駆逐(したい)オートリー(Oatly)はスウェーデン発のオート麦を原料とする人気の植物性ミルクのブランドだ。酪農と肉牛の環境への負荷が議論になっている今、オートミルクの人気はスウェーデンだけでなくアメリカやイギリスでも高い。食べ物を植物ベースで取りたい人や乳糖アレルギーの人には欠かせない、日本の豆乳の位置付けに近い飲み物だ。 オートリーはもともと牛乳アレルギーや乳糖不耐症の人のためにルンド大学の研究者が国内産穀物を使って開発したミルク代

サステインノルディック 持続可能な「北欧」を発信

(2019年3月3日のブログ記事から転載、編集したものです) The Nordic Report #1北欧の持続可能な生産と消費事例を世界に向けて発信する目的で2015年に始動したのが「サステインノルディック(SUSTAINORDIC)」プロジェクト。 プロジェクトは北欧閣僚理事会からの資金を受け、スウェーデンの建築デザインセンター とフォームデサインセンターがまとめ役となりデンマーク、フィンランド、ノルウェー、アイスランド各国のデザインセンターとの共同で進められている。

欧州核破砕中性子源と大麻ハウス

(2019年4月14日のブログ記事を転載、編集したものです) 北欧の大学街の欧州随一の研究施設私の住むスウェーデンのルンド市は北欧の中でも群をぬく歴史と格式を誇る大聖堂が街の中心にあり、そのすぐ隣から神学部を始めとするルンド大学の文系学科の学舎が広がる。そしてその外周には医学部や理系、工学系の学部が大学が発展していった時系列順にわかりやすく並んでいる。 キャンパスが終わるあたりで大学発の技術シードで起業する人たちにぴったりのサイエンスセンターやメディカル系企業のスタートア