その1_はじめに

ニュースメディアの新しいビジネスモデル − スウェーデンから 1 <はじめに>

セコイア・キャピタルのパートナー、マイケル・モリッツもその先鋭的なビジネスモデルが世界の新聞社の一歩先をいくことを認めたスウェーデンの大手日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル

2013年にわずか34歳で編集局長となったペーテル・ヴォロダルスキが推進してきた数々の施策で確実にデジタルへと軸足を移し次世代のビジネスモデルの構築をすすめる。彼のフェイスブックやアップルといったプラットフォーマーへの態度もユニークでかつ一貫しておりモリッツが注目するのも不思議ではない。

これから4回にわたりダーゲンス・ニュヘテルについてレポートしていく。

「ダーゲンス・ニュヘテル」 スウェーデンを代表する新聞

ダーゲンス・ニュヘテルは1864年の創刊の歴史を誇る。新聞といえば地方紙を指すスウェーデンで、数少ない全国紙的な朝刊紙だ。

新聞やテレビ、書籍・雑誌の出版から映像製作、不動産業に至るまでスウェーデン国内だけでも10の企業からなり、この国の報道やエンタメの領域で絶大な影響力をもつメディアグループ「ボニエ」の中核をなす存在がダーゲンス・ニュヘテルだ。

北欧諸国やドイツ、アメリカでも事業を行っているボニエは、創業時から今日に至るまで家族経営による事業の継続性を謳っており株式市場には上場していない。 (スウェーデンのニュースメディアの概況やボニエの事業に関しては、下記にまとめた。)

「ペーテル・ヴォロダルスキ」 34歳で編集局長に

就任から6年経った現在もまだ40歳の若さのペーテル・ヴォロダルスキは、就任直後に社全体の2割にあたる人員削減する試練から編集局長としてのキャリアをスタートした。彼はその後も記者や編集員の働き方を根本から変革し、ユーザーの支払い方法を極限までシンプルにし、AIでチャーン(購読離脱率)を劇的に改善するなど様々な改革を行ってきた。

その根幹にあるのが質の高いジャーナリズムをデジタルで提供しさらに広告には頼らないと決めた点である。

この連載ではこの先、2.今のビジネスモデルとそれに至るまでの道のり、3. ジャーナリズムの中身はどう変わってきたのか?、4.組織、人材はどうなったのか? について書いていく予定だ。

ヴォロダルスキはポーランドからの移民2世である。彼のユニークな生い立ちは以前ブログ記事でまとめたことがある。興味があれば下記リンクからご参照ください。


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