Thanksgivingは全米中が移動で大混雑し、お迎えする方もお料理をたくさん作って大忙し、そしてみんながお腹いっぱい食べる日となっています。我が家は、車で40分くらいの距離にある夫の実家に行くだけで、お料理もほんの少し持っていくのみ。とても楽をさせてもらっています。

それでも前日はやはり買い物や準備があり、夕方にはかなり疲れてしまいました。夕飯を食べながら、娘が、昔のサンクスギビングは良かったと話し始めました。

5年ほど前までは、夫の親戚が大勢集まるパーティにお呼ばれするのが恒例で、もっと楽で、もっと華やかでした。でも長年ホストしてくれていた夫の親の世代が高齢化して大きな集まりはできなくなりました。娘は、それを懐かしがり、あの頃は良かったなー、オシャレして出かけたこと、従兄弟たちに会えたこと、それがもうないからつまらないと言いました。

正直なところ、私も娘と同感です。2年前には義父も亡くなり、ますます寂しくなりました。

でも、娘にも昔は良かったなと思うような、そんないい思い出があって良かったなあと思ったのです。

「悲しいと思うか、良かったと思うか。どっちを選ぶ? 　思い出して懐かしい気持ちになるって、幸せだと思うなあ」と言うと、確かにそうだと娘もすぐ納得しました。（いつも反論するティーンエージャーにしては珍しく）

季節の思い出、家族や友達や大切な人と過ごした思い出があるとは、なんと幸せなことでしょう。

感謝祭にふさわしい、ジーンとくる思いに満たされていると、やっと娘がアップルパイを焼き始めたのです。4年前にSur La Tableのお料理教室で習ってきたレシピがとても美味しかったので、以後、娘がアップルパイを作るのが恒例になりました。

私も手伝おうとりんごの皮剥きを始めると、突然腕が鉛のように重い。疲れがなぜかどっと出てきたのです。そうなると、あー疲れたー、ホリデーめんどくさいなーと、さっきまでの感謝の気持ちはどこへやら?

スマホを見ると、グランマからのテキストが家族のグループ宛に入っていたのを、私も夫も義兄姉たちもみんなスルーしていた（政治の話だったので、つい。。。）のに、娘だけ、❤️をつけて反応してあげていました。

ふと、この子がいなかったら、うちの家族はどうなっちゃっていただろうと思ったのです。グランマを支えながら、私たちは、今も、ホリデーになるとみんな集まって来ている。なんだかんだ言い合いながらも、やっぱりちゃんとくる。

そう思ったら、この子が生まれて来てくれただけで、なんとありがたいことか。今ここにいてくれるだけで、どれだけ私たち家族を幸せにしてくれているか。人間、生きてるだけでいいって、ほんとだなーと思ったわけです。

実は最近、娘がスマホばかり見てるのが心配で、勉強とかもっとクリエイティブなこととか、やって欲しいなって歯がゆかったから、それがつい言葉尻や表情に出てしまっていたのです。娘も居心地悪かったことでしょう。

アップルパイをオーブンに入れて、またスマホを見ている娘に言いました。
「あなたが生まれてきてくれて、本当に良かった。アップルパイも作ってくれるし、グランマのテキストみんな無視してたのに、あなただけちゃんとハートマーク付けてくれたし。ほんと、あなたがいなかったら、うちの家族どうなっていたか！ ありがとう。」と伝えることができました。

そして、「人間、生きてるだけでいいんだって。それは本当にそうだよ。」と言うと、一瞬、ニコっとしたのです。力が抜けたリラックスした笑い。それを見て私は確信しました。あー、私も彼女を追い詰めてて可哀想なことしてたなと。もともと頑張りすぎるくらいの娘が、大学受験の最中にまだまだ生きてるだけでオッケーとは思えないだろうけど、私は何があってもそう思ってあげようと、決めました。親のできることって、究極にはこれしかないと確信したのです。

そして、これ実は、私もそう。みんなもそう。生きてるだけでいい。なかなかそう思えないけど。

本当に生きてるだけでいいってわかると、すうーーっと肩の力が抜ける。そしてその静けさの底から、どうせ生きてるなら、〇〇したいって思いが湧き上がってくる、はずなんです。

アップルパイに感謝。ご馳走に感謝。一緒に食卓を囲めること、もう会えない人と一緒に過ごしたいと思えること、懐かしい思い出があること、全てに感謝です。