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学習習慣は必須だが、学習が「作業化」したら効果がなくなる

「毎日決まった時間に自発的に学習すること」

これができたら、小学生の段階での学習は、50%完成だと思っています。あとは、学習する内容を少しずつレベルアップさせていければ、自然と学力は上がっていきます。学力は。


単なる学習の習慣をつける方法

「学習習慣」を身につけるには、同じ時間に、同じ場所から教材を取って、同じ作法で学習をスタートするのが近道です。

学習開始までに考えなくてもいいようにすればするほど、学習開始のハードルが下がります。
つまり、学習するプリントを考えて準備して、鉛筆出して、消しゴム探して、机の上を片付けて・・・というのは、やること考えることが多すぎる状態。
ダイニングテーブルに、その日に学習するプリントと鉛筆と消しゴムが置かれている状態にしておくと、何も考えずに座れば即学習が開始が可能です。

歯磨き感覚のあたりまえな学習習慣をつけるには、年齢が低いほど、習慣化しやすいものです。早い段階で習得する方が、習慣化するスピードも速いので、親子ともに楽です。
2歳児でも学習習慣は身につきます。

思考力を上げる学習の習慣

一方で、「解き方」が習慣化することには注意が必要です。

学習開始後、いつもと同様に解くのが習慣化していると、頭を使うエネルギーが少なくて済むので、楽に学習できます。
しかし、頭を使わないので、思考力が伸びません。

すると、頭を使わされるような負荷の高い学習をすることに抵抗が生まれます。頭を使わないことに慣れていくので、頭を使うエネルギーが育っていないのです。

結果、ある時点で習熟度の上がり方が鈍ります。それだけではなく、頭を使わない学習を習慣化させると、ケアレスミスまで習慣化することもあります。

これを「作業的な学習」と呼びます。

作業的な学習の弊害

学習するという行動が作業化するのはありですが、頭の使い方まで作業化させるとまずいです。

ある進学塾の説明会で、「4年生のうちはパターンで覚えてあてはめていけばいい」という話をしていましたが、まさに作業的な学習を推奨していると感じました。かなり危険です。
一度パターン化することの楽さを味わうと、そこから脱するのが難しくなるからです。

正直、中堅レベルの中学受験への合格だけを考えたら、それでもいいのかもしれません。
でも、そこはゴールじゃないはずです。

小学校の低学年で算数が得意な子の典型は、「計算が速い」ことです。結構なことです。
でも、高学年になって急に伸び悩む子がいます。その原因が「作業化」です。

解法を作業的にインプットして、作業的にアウトプットする学習をくり返しています。
あるパターンにあてはめるような学習ばかりしていると、思考を要する問題に太刀打ちできなくなります。
技術的にも気持ち的にも。

学習を作業化させないために

学習をする目的は、自分を磨き、「解き方」のレベルを上げていくことで、より賢い頭を作ることです。
学習が作業化する子の特徴は、この目的が「本日の学習ノルマをやり切ること」「正解を出すこと」になっています。

知識だけを覚えるだけならいいんですが、「解き方」を作業化してしまっては、賢くなっていきません。

同じような問題を学習するときでも、
「昨日と違ったちょっと難易度の高い学習」
という目標設定をすること。

スピードばかりを追い求めるのではなく、より少ない途中式で解くとか、ミスしないように解くとか目標を設定します。次に目標を達成するには、何を変えたらいいかを考えます。

そうやってよりよい解き方を考えて学習すると、学習が作業になりにくくなります。
もちろん、最初は子ども一人ではなかなかできないでしょう。コーチが必要です。

考えなきゃ解けない問題でも、子どもたちは極力省エネで解こうとします。一見、ほとんど頭を使わずに解いているような子さえいます。ベルトコンベヤーに流れてくる同じ商品に同じラベルを貼り続けるかのように、問題を同じように解く「作業的な学習」です。

これからは特に「作業的な学習」はさせてはいけません。機械でもできる「作業」がいくら得意になって、速くなってもAIに代替されてしまいます。

学習が「作業化」している兆候が見えたら、一瞬でも早く切り替えさせないと、学習時間が無駄になりかねません。

ちなみに、「作業」は楽ですが、つまらないものです。
「頭を使う」はきついけど、達成感は味わいやすいです。

長期的に見て、学習が内発的動機づけになっていくのは、後者の「頭を使う」学習です。

というわけで、「学習習慣」は必須ですが、「学習の作業化」には気をつけましょう。

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