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プロのお仕事(カメラマン編)

いつもとは違った分野の撮影依頼があり、撮影の準備をしていて、
改めてプロのお仕事を想う。

20年以上カメラマンの仕事をしていて、今頃気がつくのも遅いが、プロの仕事はその準備段階で7〜8割終わっているのかと思う。

仕事柄、各分野のプロに出会うことが多いが、どの分野のプロも一流の人は言い訳をしない(前回書いた部分)。

そして、できるプロほど準備に時間をかけていることに気づく。
音楽のプロは楽器や音響機材のチェックを入念にする、そして本番前のリハーサルも。運動のプロは日頃から体を作り、本番に合わせて体調を整えていく。
カメラマンは撮影前に機材のチェックをする。

本番は準備してきたことをできるだけ100%に近い結果を出す舞台。
結果の良し悪しは準備段階でほぼぼぼ決まっている気がする。

今回、僕が引き受けたのはスタジオでの人物撮影のお仕事。
スタジオといっても専門の写真スタジオではないので、照明機材など、自分で持ち込まなければならない。
写真専門のスタジオは多少おお値段が高いが、カメラマンとしてはとってもやりやすい。
スタジオマンがいて、イメージを伝えれば、その通りのライティングを作り出してくれる。

場所だけを貸してくれるスタジオは手軽なお値段だが、照明機材などをカメラマンが自分で持ち込まなければならないし、初めて訪れる場所で天井の高さや外光の入り具合などを判断して、迅速にライティングをしなければならないので、ちょっと大変。

カメラも照明機材も機械を使うものにはトラブルがつきもの。
確率は高くないがカメラも照明機材も壊れる。
特に使用頻度が少ない機材は危険度が高まる。

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長年使っているコメットのストロボ。
ちゃんと発光するか、光量は狂っていないか、露出計を使ってチェック。
(最近のカメラマンは露出計を持っていない人も多い)

ここで安心してはいけない。
チェックしていた時は大丈夫でも、カメラと接続したら発光しない!なんて心臓が飛び出るくらいのトラブルに遭ったこともある。

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メインカメラの1DXマーク2の接点に接続して、実際に撮影して、ようやく一安心。
全ての機材をチェックし終わると1時間半ほど時計の針が進んでいた。

僕たち世代のカメラマンはデジタル時代になってもおさえ(別のカメラで撮影しておく)をするし、どんな単純な撮影にも予備のカメラを持参する。
デジタルになってフィルム時代よりトラブルが少なくなり、多少のトラブルはPC上で補正できる、それでも撮影の途中でカメラが全く動かなくなることもあるし、落としたり、ぶつけたりしてカメラが壊れることもある。

さまざまなトラブルに出会しても、なんとか映像を残すのがプロのお仕事だと思う。
僕が引き受ける講演もそうだし、撮影もそうだが、お仕事を引き受けた時点からお仕事は始まっていると思う。

若い頃、思っていた。
ベテランカメラマンになればこの緊張感から解放されて撮影が楽しくなるのだと。
年齢と経験はベテランの域に達した僕だが、若い頃より緊張するようになった。
若い頃より一枚の写真の重さを知ってしまったから。
そんな自分のことを思いながら、どの分野のプロも同じ思いをしているんだろうな。と想像する。


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