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さいはての約束

「この人となら約束できる気がするんです」

数時間前に会ったばかりなのに、彼とのこと仕事のことをあれよあれよと話したのは、お酒のせいか、全てを受け入れてくれる典子さんの笑顔とこの地のせいか。
いずれにしても、ここは優しさと温かさで満ちている。

一人旅に「さいはての地」を選んだのは、縁によって引き寄せられたから。
能登半島の最北端にある珠洲。
観光を終えると、目の前に日本海が広がり、猫とオーナーの典子さんが迎えてくれるゲストハウスへ。

さいはての地はもっと厳しく寂しいところだと思っていた。でもここは強く優しい人達が住まい、みな温かく受け入れてくれる。

典子さんと能登の料理と地酒の「白菊」を囲んで夜な夜な話した。この満ち足りた時間が、置かれた環境への不満も将来への不安もふわりと包み込んで、溶かしてくれた。

「彼と結婚したらまた一緒に来ますね」
すっかりご無沙汰になった約束をそろそろ家族3人で果たしに行こう。

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