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節句の本当の意味

今日のおすすめの一冊は、石川恭三氏の『一読、十笑、百吸、千字、万歩』(河出書房新社)です。その中から「禍福は糾える縄の如し」という題でブログを書きました。

本書の中に「節句の本当の意味」という興味深い文章がありました。

子供のころから、「勝って兜の緒を締めよ」「出る杭は打たれる」「驕る平家は久しか らず」、などの格言をいろいろな機会に聞かされ、隠忍(いんにん)自重するように注意を受け た。 
それに従って行動したことで、辛うじて難を逃れることができたことが度々あった し、それを怠ったために痛い目にあったことも少なくなかった。 
良いことが重なると災いを呼び込む恐れがあるとして、注意を喚起する日、いわゆる 危険防止デーとして、定められたのが五節句(ごせっく)である。 
五節句とは、一月七日(七草の節句)、三月三日(桃の節句)、五月五日(菖蒲の節句)、七月七日(たなばた)、九月九日 (菊の節句)のことであり、一月を除いてすべて月と日も同じ数字で単数、そして奇数である。 
中国では奇数は陽と考えられていた。 奇数の月と奇数の日が重なる日は、陽の重なる日であり、すべての生命が最も激しく燃えあがる日であって、大吉と考えられた。 そして大吉は大凶につながるという発想から、この日は危険な日であると恐れられ、そこから祭りが生まれた。 それが節句である。 
このような陰陽の思想から生まれた五節句だが、今日では、季節の節目の祭りとして受け継がれていて、本来の危険防止デーとしての意義は失われている。 大昔から、吉事が重ねて起きるようなときには大きな凶事を呼び込む恐れがあるとして、身を慎むことが推奨されていたのである。 
五節句を祝う折に、今の自分にとって何が最も危険になっているのかを考え、それに対しての心構えを整えるようにするのも一つの知恵だと思う。

幸田露伴は、幸運なことがあったとき、それに対する3つの方法があるという。それが、「三福」という「分福」「惜福」「植福」

分福とは、もらった福を他の人に分けること。

植福とは、未来のために、子どもたちのために何かをするとか、福を植えること。

そして、惜福とは、福を使いつくてしまわないこと。これは幸運が重なったときや、絶好調のときにこそ、身を慎むということでもあり、威張らない、偉そうにしない、調子にのらない、ということでもある。

幸運が重なる節句のときほど、「おかげさま」という気持を持ち、感謝の心で過ごすことが必要だ。自分が存在しているのは、自分だけの力ではないと、大いなる神への畏(おそ)れを抱くことでもある。

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