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多所懸命

今日のおすすめの一冊は、斎藤茂太氏の『「ゆっくり力」でいい人生をおくる』(新講社ワイド新書)です。その中から「新しい集まりに入ってみる」という題でブログを書きました。

本書の中に「多所懸命」という心に響く文章がありました。

「一所懸命」とは領主から授かった土地を、命を懸けて守ること......これが語源となって生まれたのだそうだ。 そして後に「ひとつのことに脇目もふらず、真剣に取り組むこと」という意味になった。 

今の世でいえば、 「趣味ですって? 楽しみですって? そんなものありませんよ。 仕事が私の趣味みたいなものですから」 と仕事ひとすじにかける、仕事人間の生き方のようにも思える。 

それはそれで立派だが、これだと、どうしても毎日の生活が「行ってくる」「いま帰った」「メシ」「風呂」「寝る」の、繰り返しになりやすい。 こういう単調な生活は心の老化をはやめる。後々、自分を、せっかち老人、がんこじいさん、いじわるばあさんにしてしまう。 

そこで「ゆっくり生きる」ために私は「多所懸命」をおすすめしたい。仕事ばかりでなく、いくつもの顔を持って、多方面の分野でがんばれる人になるのだ。 多方面の分野に顔を突っ込むといいのは、いろいろな人と知り合えることである。

いくつになっても、まだ見ぬ人との出会いは楽しいものである。 自分の知らなかった意外な話が聞け、好奇心が触発され、人間の幅も広がっていく。 目からウロコが落ちる。大げさにいえば「人生の喜び」をもたらしてくれる。 

一日の時間割も、できるだけ「多所」にする。机に座って、ひとつの仕事に懸命になるのではなく、あっちの仕事を一時間やったら、こっちの仕事に切りかえて、午後はもうひとつ別の仕事の段取りをやって....と、ひとつのことに凝り固まらない。 

◆同時にいくつか複数の仕事を行うことを「マルチタスク」という。元々はIT用語だが、「音楽を聴きながら仕事をする」とか「人と話ながら運転する」、「同時に複数の料理をつくる」等々をいう。

現代は特に、マルチタスクの能力がないと、生きていけない時代だ。一所懸命にひとつだけのことだけしかやらない人は視野がせまく、新たな発想がでにくい。

「会社をいくつも経営する」とか「いくつもの副業をする」「いくつものコミュニティに所属したり、運営する」等々も同じだ。

一所懸命ではなく「多所懸命」でやっていきたい。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


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