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聞かれてもいないのに自分から話す人

今日のおすすめの一冊は、枡野俊明氏の『一日一戒 良寛さん』(自由国民社)です。その中から「しゃべりすぎはカッコわるい」という題でブログを書きました。

本書の中に「聞かれてもいないのに自分から話す人」という心に響く文章がありました。

《問わず語り》 (聞かれてもいないことを自分から話すのは無粋です)
 誰かと話していて楽しいのはどんなときでしょう。 自分が興味をもっていることについて話してくれたり、おもしろいと思える話題を提供してくれたりしたときは、それにあたると思います。 

逆にいえば、興味がまったくない話やちっともおもしろいと思えない話をされても、楽しくはありませんし、その場の居心地も悪くなるということでしょう。 いわゆる興ざめ、いまふうにいえば“どん引き”の状況です。 

やっかいなのは、人には自分が興味のある分野やおもしろがっていることを他人に語りたいという衝動が、少なからずあることです。 そこで、悪気はないのについつい、どん引き状況をつくり出してしまうことにもなる。 

話題を切り出したら、ワンクッション置いて、相手を観察してはいかがでしょう。 興味のあるなし、聞きたい話かそうでないかは、必ず、表情や言葉にあらわれます。「最近ワインに凝っていてさ。ワインってじつに奥が深いんだ」 そんな話題を振って、しばしウォッチング。 

「ワインは好きでよく飲むよ。詳しくはないんだけれど、産地はどこがおすすめ?やっぱり、ブルゴーニュとか…」 相手がこんな対応なら、ワイン談義はその場を盛りあげること必至です。 

しかし、「…ふ~ん、ワインねぇ…」といったものだったら、その話題は打ち切りにして、話をほかに転じましょう。 問わず語りは自分よがり、相手を置き去りにします。 「ワンクッション&ウオッチ」を忘れないでください。

良寛さんの「戒語」の中からいくつかを抜粋。(良寛禅師戒語)より 

一、ことばの多き 
一、はなしの長き 
一、問わずがたり 
一、てがらばなし 
一、じまんばなし 
一、おのが氏素性の高きを、人に語る 
一、人のもの言いきらぬうちに、もの言う 
一、さしで口 
一、人の話のじゃまをする
 

「ことばの多き」とは、しゃべりすぎのこと。 「問わず語り」とは、人が尋ねないのに自分から語ること。 「差(さ)しで口」とは、でしゃばってよけいな口出しをすること。 「人のもの言いきらぬうちに、もの言う」とは、人がまだしゃべっているうちに、それをさえぎって話し出すこと。 

これらの戒語の多くは、「俺が」「俺が」という自己中心的な考えを戒める言葉。 人は、どうしても自分のことを優先的に考えがちだ。 だから、利他ではなく、利己になってしまう。 

伝教大師はそれを「忘己利他(もうこりた)」と言った。 自分のことは後回しにして、人に喜んでもらうことをしよう、ということ。 

「聞かれてもいないのに自分からは話す人」はイタい人。

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