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最後の授業

今日のお勧めの一冊は、『一流たちの金言 2』(致知出版社)です。その中から柏木哲夫氏の「人は生きてきたように死んでいく」という題でブログを書きました。

本書の中に、熊本の名校長、大畑誠也 (九州ルーテル学院大学客員教授) 氏の「最後の授業(親に感謝、親を大切にする)」という素晴らしい一文がありました。

高校生の多くはいままで自分一人の力で生きてきたように思っている。 親が苦労して育ててくれたことを知らないんです。 これは天草東高校時代から継続して行ったことですが、 このことを教えるのに一番ふさわしい機会として、私は卒業式の日を選びました。式の後、三年生と保護者を全員視聴覚室に集めて、私が最後の授業をするんです。
そのためにはまず形から整えなくちゃいかんということで、後ろに立っている保護者を生徒の席に座らせ、生徒をその横に正座させる。そして全員に目を瞑らせてからこう話を切り出します。「いままで、お父さん、お母さんにいろんなことをしてもらったり、 心配をかけたりしただろう。それを思い出してみろ。交通事故に遭って入院した者もいれば、親子喧嘩をしたり、こんな飯は食えんとお母さんの弁当に文句を言った者もおる......」
そういう話をしているうちに涙を流す者が出てきます。「おまえたちを高校へ行かせるために、ご両親は一所懸命働いて、その金ばたくさん使いなさったぞ。そういうことを考えたことがあったか。学校の先生にお世話になりましたと言う前に、まず親に感謝しろ」

そして 「心の底から親に迷惑を掛けた、苦労を掛けたと思う者は、いま、お父さんお母さんが隣におられるから、その手ば握ってみろ」と言うわけです。 すると一人、二人と繋いでいって、最後には全員が手を繋ぐ。 私はそれを確認した上で、こう声を張り上げます。
「その手がねぇ!18年間おまえたちを育ててきた手だ。 分かるか。 ......親の手をね、これまで握ったことがあったか? おまえたちが生まれた頃は、柔らかい手をしておられた。いま、ゴツゴツとした手をしておられるのは、おまえたちを育てるために大変な苦労してこられたからたい。それを忘れるな」
その上でさらに 「18年間振り返って、親に本当にすまんかった、心から感謝すると思う者は、 いま一度強く手を握れ」 と言うと、あちこちから嗚咽が聞こえてくる。 私は、「よし、目を開けろ。分かったや? 私が教えたかったのはここたい。 親に感謝、親を大切にする授業、終わり」 と言って部屋を出ていく。 振り返ると親と子が抱き合って涙を流しているんです。 (『致知』2011年1月号)

孝行したい時には、親はなし」ということわざがあります。多くの人は、結婚し、子を持って初めて、親のありがたさに気づきます。そして、親孝行しなければ、と思ったときには親は亡くなってしまって、孝行ができないということです。

これは親だけでなく、日ごろ、あたりまえに思っていたことが、実はとても有り難いことだったということに気づくことがあります。たとえば、健康です。病気になって入院したときなど、今までできていた、「歩けること」「出かけられること」「何でも食べれること」「家族と過ごせること」等々が如何に大切で、なんと有り難いことだったのか、と気づきます。

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