見出し画像

SDGsとコロナ禍が商いの環境を大きく変えた

今日のおすすめの一冊は、笹井清範(ささいきよのり)氏の『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』(同文館出版)です。ブログも同名の「売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則」という題で書きました。

本書の中に、「SDGsとコロナ禍が商いの環境を大きく変えた」という興味深い文章がありました。

福岡県北九州市の「魚町銀天街」は、日本で初めてアーケードをかけた商店街として知られていますが、もうひとつ日本初の取り組みがあります。2018年に、商店街として SDGsをめざすことを宣言し、17のゴールの4番目「質の高い教育をみんなに」と、11番目「住み続けられるまちづくりを」を中心に、すべての目標に取り組んでいます。
「商店街は単に物を売ったり買ったりするだけの場ではありません。地域やコミュニティの再生と活性化のために役立ちたい」と、魚町商店街振興組合の 梯(かけはし)輝元理事長は語ります。 この言葉に表われているように、物の売り買いの中にあって、物の売り買いを超えた価値を添えてこそ、店や企業は存在を許され、継続的に繁盛できる時代を迎えています。このと き、資本力や企業規模の大小は意味を持ちません。
「コロナ元年」となった2020年は、商いの環境も大きく変わりました。 業種業態や取扱商品によって濃淡はありますが、最初の緊急事態宣言が発令された2020年4~6月期の 実質GDPはマイナス7・9%。これは、リーマンショックの影響を受けた2009年のマイナス5・4%を超える、近年まれにみる最悪の事態でした。
「7割経済」と言われるほどに、多くの店や企業が売上げを落としています。大きく生活様 式と生活意識が変わったニューノーマル (新常態)時代にあって、消費意識と消費スタイル だけが無縁ではありません。7割の売上げで、かつてのような利益を残すには、販売管理費 をさらに削るか、付加価値を育みつつ粗利益を上げるしかないでしょう。
あなたはどちらを選択しますか? 本書では、後者の道を探っていくことをめざします。 前者の道を進んでも、誰も幸せになれないからです。 この二つの事象からわかるのは、もはや成長優先のビジネスから卒業して、持続可能な商いを選ぶべきということです。
商いの本質は「あきない」と書くように、未来につながる繰り返しにあります。継続して儲からなければ、本当の利益とは言えません。利益とはお客様から信頼された証拠であり、商人が責任を負う未来のための資源なのです。 商人の誠実さは繁盛で証明され、商人の知恵の深さはその利益で測れます。そのためにも、私たちはかつての成功体験を捨て、時代の変化に適合した新しいものさしを持たなければなりません。

本書の著者笹井氏は、商店経営の専門誌「商業界」の編集長を長く務めてきた方で、「商業界」の伝説的な創業者倉本長治氏の薫陶を受けて育った人です。倉本長治氏は「公共性」×「時代性」×「革新性」について、こんな言葉を残しています。

『商売は今日のものではない。永遠のもの、未来のものと考えていい。それでこそ、ほんとうの商人なのである。人は今日よりも、より良き未来に生きねばいけない。』

また、倉本長治氏の盟友である新保民八氏は「公共性」についてこんな言葉を残しています。

『正しきに依りて滅ぶる店あれば 滅びてもよし 断じて滅びず』

そして、革新性について新保氏は

『古くして古きもの滅び 新しくして新しきもまた滅ぶ 古くして新しきもののみ 永遠にして不滅なり』

すべての商人また、ビジネスマンにとっても、心揺さぶられる素晴らしい言葉です。今一度、心に刻みたいと思います。

今日のブログはこちらから☞人の心に灯をともす

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?