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メカニカルターク

今日のおすすめの一冊は、池谷裕二氏の『脳は意外とタフである』(扶桑社新書)です。その中から「コントラフリーローディング効果」という題でブログを書きました。

本書の中に「メカニカルターク」という興味深い文章がありました。

《メカニカルターク》 (スピードとコストを兼ね備える「ネット雇用」)


「メカニカルターク」をご存知でしょうか。ネットを介して仕事を受注するシステムで、 インターネット書店大手のアマゾンが運営しています。 現在、世界100ヵ国以上から何十万人というワーカーが参加しており、さまざまな依頼者が提供する仕事のリストから、自分のできるタスクをこなし、報酬を得るというシステムです。


誰でもできる単純作業が多いのですが、なかには文献の提供や、音声データの文字起こし、行方不明者の捜索など、高度なタスクもあります。 労働基準や労働賃金、あるいは脱税などの問題点が指摘されてはいるものの、失業者やフリーターへの新たな雇用形態としても注目を集めています。


このメカニカルタークに、このところ研究者が熱い視線を注いでいます。たとえば社会学の分野では、しばしば不特定多数にアンケートをとる必要があります。とくに大規模な調査では、人を募るプロセスに時間がかかります。ましてや海外からアンケートを得るの は困難です。


カリフォルニア大学のレンズ博士は、メカニカルターク上で研究用のアンケート参加者を募集したところ、わずか4日の公募で数百人のワーカーから意見を集めることができました。 驚くべきは賃金です。従来型のアンケートでは、相場は一人あたり15分間で8ドル程度ですが、メカニカルタークでは1ドル以下で済みます。


ときおりスパマーと呼ばれ、金銭目的の無責任なワーカーもいますが、返答パターンに基づいて統計的にデータを排除できるため大きな問題ではありません。むしろ賃金が安いためにスパマーが少ないのが特徴だといいます。 スピードとコスト。両者を兼ね備える魅力的なネット雇用は、あらたな需給システムのホットスポットとなりそうです。


◆メカニカルタークは、単純作業を請け負うフリーランスを募集するAmazonが運営するクラウドソーシングサイトだ。今、薄給で問題になっているという。しかし、そこでしか稼げない環境にある人にとっては命綱となっている。大多数の人の時給は低いが、多い人は時給12ドル以上稼ぐ人もいるという。仕事を受注する人を「ターカー」という。

メカニカルターク(「機械じかけのトルコ人」の意)の名は、18世紀にハンガリー人貴族が製作した「自動チェスプレイヤー装置」に由来する。これは、ターバンを巻き、口髭を蓄えたマネキンが、玄人はだしのチェスを指す装置だが、実際にはチェスボードの真下に人間のプレイヤーが隠れていて、磁石とワイヤ仕掛けでマネキンを操っていたという。

AIやネットの発達により、今後様々な職業が生まれる。その逆に、今まで成立していた職業があっという間に消えていくこともある。

時代の変化を常に読み取り、新たな潮流に常に関心を持つことが必要だ。

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