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リスキリングがますます必要

今日のおすすめの一冊は、石角友愛(いしずみともえ)氏の『AI時代を生き抜くということ』(日経BP)です。その中から『「4to4」の時代』という題でブログを書きました。

本書の中に「リスキリングがますます必要」という心に響く文章がありました。

面白いのは、リンダ・グラットン教授(ロンドン・ビジネススクール)が言う「マルチステージ化した人たち」を、日本の企業も支えようとし始めていることです。 

日本でも副業を解禁したり、推進したりする企業が増えてきました。これは、40年間ずっと同じ会社の中で働くスーパージェネラリストを育てることが、会社にとってべストではないと考える経営陣が増えた結果ではないでしょうか。 

また、大企業からベンチャー企業に出向させたり、レンタル移籍を仲介する企業を使って、全く新しい経験をさせたりするような企業も増えています。

グラットン氏の書籍の中では「経験を積んで戻ってきた従業員は、会社にとって重要なアセットになる」と書かれていますが、同じような考え方をする経営者が日本にも増えてきたということでしょう。 

米国のリスキリング市場は3700億ドルと推定され、世界経済フォーラムと米ボストン・コンサルティング・グループによれば、今後10年で137万人の労働者が現在の職から離れ、これらの労働者はリスキリングによって新しいスキルを手に入れることで、より高い給料の仕事に就ける可能性があると指摘されています。

なお、米国におけるリスキリングのコストは1人当たり約2万4800ドルで、社外から人を採用するよりコストを6分の1程度に抑えられるとしています。この試算にはさまざまな意見がありますが、リスキリングのために社内投資したほうが、社外から採用するより圧倒的に安いという点では一致しています。 

例えば、米ウォルマートは10億ドル、米マクドナルドは過去8年で1億6500万ドルを従業員のスキルアップに投資し、7万2000人を成長志向に向けたとハーバード・ビ ジネス・レビュー(HBR)の論文で紹介されています。

米国の企業では、R&D(研究開発)ではなく、L&D (Learning and Development 学習開発)を専門とした部署がつくられつつあります。表面的なリスキリングプログラムを導入するだけではなく、どのような人事の仕組みをつくれば、従業員が「成長志向」を持ち、幅広く学び続けられる企業文化を醸成できるかを考えているのです。 

米国だけではありません。例えばドイツでも「失業した人に対して支援する」という考え方から、「失業する前にリスキリングする」といった考え方にシフトするよう政府が指導しています。 

一例として、フォルクスワーゲンではクルマの電気自動車(EV)化によって新たに生まれるであろう仕事をリストアップし、その仕事に就くためにはどんなスキルを学べばよいか従業員に公表しています。

ソフトウエアエンジニアが足りなくなるのが目に見えていることもあり、とくにEV化で不要になる職種に就いている人たちを中心に、リスキリングを進めているのだそうです。 

日本でも遅ればせながら、リスキリングの重要性が主張されるようになりました。このように、「一生学び続ける。さもなければ働き続けることはできない」といった考え 方は、この数年でシリコンバレー以外でも常識になってきました。

◆自動車のEV化だけでなく、将来必ず起こる変化でなくなるであろう職種はたくさんある。たとえば、「(自動運転化により)配達の運転手」「警備員のロボット化」「一般事務作業」「電車やバスやタクシーの運転手」「レジ係」「スーパーやコンビニの店員」「銀行員」等々。

ある程度先が見えている職種だけでなく、それ以外のどのような職種についていてもAIの影響は必ず受ける。そのために必要なのがリスキリングだ。スキルの賞味期限は4年だという。

大学で4年学んで、その後40年働くという時代はとうの昔に終わったことを認識する必要がある。

「一生学び続ける。さもなければ働き続けることはできない」

AIの大変化の時代を生き抜きたい。

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